「トランプ支持者バッシング」が筋違いなワケ そんなことしても米国は再生できない

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トランプ氏勝利に対する抗議デモの様子。「女性とイスラム教徒、移民受け入れを支持する」というカードを捧げている。ミネソタ州ミネアポリスで10日撮影(ロイター/Adam Bettcher)

米国のオバマ現大統領が、今回の大統領選では民主主義そのものが問われていると語ったことは正しかった。だが、ドナルド・トランプ氏がヒラリー・クリントン氏に見事な勝利を収めたからといって、米国人の過半数が反民主主義的になったとまでは言えないのではなかろうか。クリントン支持者はトランプ支持者や新政権と、どう折り合っていくべきだろうか。

仮にクリントン氏が勝っていたとしたら、トランプ氏は新大統領の正当性を否定しただろう。クリントン支持者はそうすべきではない。彼らは、総得票数ではトランプ氏は敗れており、民主主義的に見れば圧倒的な負託を得たのではないと指摘することもできるだろうが、結果は結果だ。

クリントン支持者は、利害をトランプ支持者と折り合わせるための新たな方策を探るべきだ。一方で、トランプ氏に脅かされる恐れがあるマイノリティの権利保護に断固として努めるべきだ。

そして、トランプ氏が権力の抑制と均衡を弱めようとした場合、リベラルで民主主義的な機能を全力で守るべきだ。

まずはトランプ躍進の分析を

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激しい選挙戦によって生じた政治的な分裂を乗り越えて前進するためには、トランプ氏がずる賢いポピュリストとして、有権者の政治的思考を変化させたかについて、詳しく理解すべきだろう。

正しいレトリックと政治的に妥当な選択肢によって、こうした政治的概念を再び変えさせることは可能だ。トランプ氏を支持する労働者階級がいつまでも民主主義を顧みないわけではないだろう。

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