パズドラのヒット、半分以上は"運"です 経営トップと開発責任者を直撃

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森下 一喜(もりした・かずき)
1973年生まれ。ソフトウエア開発会社などを経て、2002年にガンホーを創業、04年から現職。エグゼクティブプロデューサーとして開発の総指揮を執る。

森下:でも、それも僕たちの信念を理解してくだった、ということ。一言で運というと、皆さんには軽く聞こえるでしょうが、自分たちが失敗と成功を重ね、いろいろな経験を踏まえている中での言葉です。

もう一つ、運と言っている裏には、自分たちはおごらないという意味もある。「運ではなく実力です」と言い出したら、「は?」って思いませんか。なんぼのもんですか、と。僕たちはあくまでも運がよくて、巡り合わせの下で一緒に仕事ができる。大介と出会ったのも巡り合わせだし、運ですよ。ヒットを作るためというわけではなくて、一緒にゲームを作って楽しいやつを探していた。面談初日にいろいろ話をした後、「酒飲める?」「飲めます」「じゃあ、採用」って(笑)。

──モバゲー、グリーなどのソーシャルゲームがもてはやされる中で、森下社長は「うちはIT屋じゃなくてゲーム屋だ」と話しています。社員にもゲームらしいゲームを作れる人を求めている?

森下:そうです。スマートフォンでは、誰でもゲームが作れる時代になった。ただ唯一言えるのはゲーム屋としての哲学、信念がないとうちではやっていけない。

IT企業が悪いと言っているのではない。彼らには彼らの哲学があってそれはネットビジネスの一つの考え方。僕たちは彼らみたいに頭がよくない(笑)。子どもじみたことしかしていませんが、楽しむというのはすごく大切なこと。子どもの鬼ごっこで、ルールを少し変えて遊んでみたら面白いね、となる。さらにこう変えたらもっといいんじゃない、っていう意見も出てくる。そんなふうにみんなで作り上げていくのが楽しいんですよ。

──時価総額は一時任天堂を超えるなど、注目が集まる一方です。

森下:社外の皆さんから言われたときしか時価総額という言葉を使うことがないくらい、そういうことを意識していない。期待していただけるのは本当にありがたいことだと思いますが、僕らが任天堂を超えたなんて思っていないし、正直足元にも及ばない。彼らを見習って、本当の実力で認めてもらえるようになっていければと思っています。

飽きられないためには 地道な努力しかない

──パズドラはどのようにして生まれたのですか。

山本:ガンホーに入社した初日に「1週間で企画を上げて」と森下から言われて、入社前から温めていたゲームを企画書に起こしているときに、パズドラのもとになるものを思いつきました。

そのときはスマホの画面を横にして遊ぶ形でした。それで森下から、縦に持って遊べるほうがいいんじゃないと言われた。電車でも遊びやすいし、女性がコンパクトミラーでお化粧するときのような持ち方がいいよね、って。それで開発初期の時点で縦に変えました。

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