そして、ギリシャが再び焦点に

景気・経済観測(欧州)

昨年12月の支援再開で落ち着きを取り戻したかに見えたギリシャ情勢が再び不安定化している。

サマラス首相は6月11日、緊縮策の一環で国営放送のERTを閉鎖する首相令を発した。ERT本社前では大規模な抗議活動が続いており、メディア関係者が無期限のストライキを決行しているほか、主要労働組合もストライキに加わり、一部で公共交通機関の運行が停止された。

突然の国営放送の閉鎖決断

2600人以上の従業員を抱えるERTに対しては、主要政党が長年にわたって選挙協力者に“職”の便宜を図ってきたと言われており、非効率で政治的な関与の強い国営企業の象徴と目されてきた。政府は閉鎖するERTに代わる放送機関を近く設立するとし、新たな機関は人員規模や経費が従来よりも小さい効率的な組織になると説明している。

国民の間には閉鎖の決断に理解を示す声もあるが、報道の自由を侵害する行為との批判や民主主義的な手続きを経ない閉鎖命令に対する疑問の声も挙がっており、波紋が広がっている。

首相がERTの閉鎖を決断した背景には、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)からの支援受け入れに際して約束した公的部門の規模縮小や人員削減が進んでいない事情がある。支援条件を記した「覚書き(MoU)」によれば、2010年末と比較して2015年までに15万人の公的部門の人員削減を約束していた。

政府は主に早期退職の奨励と採用抑制(5人の退職者に対して人員補充を1人だけ認める措置など)を通じて、これまでに約10万人を削減してきた。だが、目標達成には年内に4000人、6月末までに2000人の人員削減が必要となる。

ギリシャ政府は現在、厳し過ぎる財政緊縮の見直し機運の高まりを受け、外食費や宿泊費に対する付加価値税(VAT)の税率引き下げや、国有企業の民営化収入の目標達成期限の先送りなど、支援条件の部分的な見直しを模索している。条件見直しでEUやIMFの譲歩を引き出すためには、公的部門のリストラで一定の成果を挙げておくことが得策と判断した可能性がある。

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