そして、ギリシャが再び焦点に 景気・経済観測(欧州)

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政策面での食い違いや野党勢には極端な政策を掲げる政党が多いことを考えると、連立相手として考えられるのは、現政権に加わっているPASOKとDIMARしか見当たらない。両党の獲得議席は各々15~20議席程度にとどまると目され、再び3党による連立政権が発足しない限り、安定した政権運営を行うことは出来ない。

行政訴訟の最上級審である国家評議会は17日、閉鎖決定を政府の裁量の範囲内としながらも、公共放送が1つも存在しない状態を違憲と判断し、ERTの営業を即時に再開するよう命じた。

現地報道によれば、6月17日に行われた連立3党による党首会談でサマラス首相は、①事業規模や人員を縮小した新たな放送局が設立されるまで、ERTの部分的な営業再開を認めることと、②6月下旬に内閣改造を行い、3党の連立関係を強化・再構築することを提案したとされる。

極左・極右政党の勢いを考えれば、連立を組む3党は早期の解散・総選挙を望んでおらず、政治的な安定を優先する意向な訳だ。ただ、今回のERTの一件で、公的部門改革の難しさや連立基盤の脆弱さが改めて浮き彫りとなった。今後も政局流動化への懸念は燻り続けよう。

いずれ追加の債務再編が必要になるとの見方も

財政再建を巡っては、今年に入ってからの月次の財政収支が計画を上回るペースで改善するなど、一部に明るい兆しも広がっている(図)。プライマリーバランスの黒字転換も視野に入る。

ただ、財政再建の一環で進める国有企業の民営化が計画通りに進んでいないことや、昨年3月の債務交換後も公的債務残高の対GDP比率は170%を上回る極めて高水準にあり、債務の持続可能性を不安視する声が根強い。 

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