サイバー「大幅減益予想」はアテにならない? 今期、巨額投資に踏み込む理由
「ゲームが稼いでくれているうちに、企業価値を大きく上げられるようなメディアを育ててしまいたい」――。サイバーエージェントの藤田晋社長は決算説明会の場で、これから予定している“巨額投資”の意図を率直に語った。
ネット広告大手・サイバーエージェントの業績が絶好調だ。10月27日に発表した2016年9月期の通期決算は、売上高が3106億円(前年同期比22%増)、営業利益が367億円(同12%増)と2ケタ増益。テレビ朝日と共同事業のネット放送局「AbemaTV(アベマティービー)」に約100億円を投資することから、昨年10月には営業利益280億円という減益予想を出していたが、そこからは一転、大幅な増収増益を達成した。
ゲーム好調、営業利益の8割を稼いだ
藤田社長は、かねて「(営業利益で)350億円を越えた分は社員への決算インセンティブ(賞与)にする」と公言していた。結果的には、その賞与に31億円を充当し、さらに期末に掛けてゲーム関連の広告宣伝費を積み増してもなお、350億円をゆうに上回る営業利益をたたき出した。
最も貢献が大きかったのはゲーム事業だ。通期の営業利益のうち、約80%を稼いだ。「シャドウバース」をはじめ、前期中にリリースした新規タイトルがヒットを飛ばしているのに加え、2014年以前に出した比較的古いタイトルでも長く人気を維持しているものが複数あり、収益を支えている。
もうひとつの柱である広告事業も、「話すことがないくらい、全体的に順調」(藤田社長)。市場自体の伸びも手伝い、同社の強化分野であるインフィード広告(webサイトやSNSのタイムラインに表示される広告)や動画広告が急伸した。
これだけ順風満帆のサイバーエージェントだが、この10月から始まった2017年9月期は、営業利益280億円と大幅減益に沈む予想を出している。要因はやはり、目下育成中のAbemaTVだ。
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