福岡で芽吹く「爆買い後」を見据えた観光戦略 日本文化体験の「コト消費」をどう増やすか
「爆買い」に陰りが見える中、福岡市の商業施設「キャナルシティ博多」に外国人向けの観光案内所が10月21日にオープンした。最大の特徴は、着物の着付けや折り紙といった和文化を体験できる点。訪日客の消費行動は、家電や高級ブランド品など「モノ」から体験型の「コト」へシフトしつつあるとの指摘もある。「思い出作り」にポスト爆買いの照準を合わせた実験が、インバウンド(訪日外国人客)の集客拠点で始まる。
「ブランド品よりも日本文化」
年間で延べ160万人を超える外国人が集まるとみられているキャナル。その数は、福岡市の人口をも上回り、九州観光では「訪日客が必ず立ち寄ると言っていいほどの定番施設」(旅行関係者)だ。
そんなインバウンド拠点の中心部にあるビジネスセンタービル1階に、観光案内所「キャナルツーリストラウンジ」(床面積約100平方メートル)はオープンした。
英語、中国語、韓国語を話せるコンシェルジュ3人が常駐。キャナルの案内にとどまらず、九州、福岡の観光やイベント情報を無料で提供する。
和室コーナーもあり、10月20日の内覧会では、招待された外国人客が着物の着付けや折り紙などを体験した。
初めて書道に挑んだというドイツ人のジェシカ・サマーさん(16)は「この字がいい」と、提示された漢字の中から「夢」を選び、毛筆で書き上げた。