中国の若者が普通の「日本料理」に夢中なワケ

グルメドラマ・映画の影響力は想像以上だ

料理と器とのマッチング、丁寧な調理、美しく盛り付けるセンス。たしかに和食は見た目でも楽しめる

中国のSNSに日本の日常生活の写真をアップして、いちばん「いいね!」数が多いのは料理の写真だ。投稿に対して、「美味しそう~ちょうど再来週に行くので、お店の情報を教えてください!」「やはり本場の日本料理は違うだろう」「とりあえずメモに保存しておきます」のようなコメントがつく。中国の各種SNSやブログサイトを見ても、日本料理に関連する投稿が、定番の人気コンテンツだ。

前々回、中国若者の日本ブーム、とくに、なぜ「MUJI」ブランドが中国若者に人気なのかについて説明した。実はもっと人気な日本「ブランド」がある。それが、「日本料理(中国で『日料』、リーリョウと呼ばれている)」だ。日本の飲食業がいま注目されているのは、「民は食を以て天と為す(人民は食事をいちばん大切にする)」と思う中国人には美味しい食事が欠くことができないし、「日本で日料を食べたい!」と思う中国若者は数えきれないほど多いからだ。今回、その人気の理由と、飲食業のインバウンド対応のあり方を取り上げる。

小林薫のバターライス!

現在中国の「小清新」「文青」(「文芸青年」の意味。詳細はこちら)のおしゃれ食事と言えば、玉子焼き、唐揚げ、たこ型のウィンナー焼き、お茶漬け、ポテトサラダ、とんかつ……と、言うまでもなく、ごく普通の日本の居酒屋料理だ。寿司、天ぷら、ラーメンなどの定番はもちろん、このようなもっと「日常的な」「普通の」食べ物の存在感が高まっている。

「なぜそんなに詳しいのか、なぜ食べたくなったのか?」と聞くと、大体が「ドラマ/映画を見たから」だ。『深夜食堂』『孤独のグルメ』『パンとスープとネコ日和』『かもめ食堂』『ごちそうさん』……日本のグルメドラマや映画は中国の若者に強い影響を与えている。

アットホームな照明、丁寧に表現される調理シーン、やや素朴かもしれないが生活感あふれる空間。長年使った鍋、レトロ感がある食器、こぼれた痕跡が残っている調味料瓶、長く使ったエプロン、物だらけの部屋……家のシーンでもお店のシーンでもリアル感が伝わってくる。一人でランチを食べる人も、店を経営する人も、クセがあり、過去があり、悩みがあり、欠点がある。キャラクターごとに顔と性格を持つ。「リアル感」と「豊富な個性」で、料理の美味しさが伝わり、物語への共感性も高まる。

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