では、外国人海外大学生採用を導入する企業は、こうした人材によって、どのようなニーズを満たそうと考えているのでしょうか。大きく4つのパターンに分けてみましょう。
まず、最初に挙げられるのが、国内で採用できている優秀な学生と同等か、それ以上の能力を持つ学生を総合職として採用するというケースです。7割ほどは日本語が話せる学生を募集しているという点も特徴です。こうした採用を行う企業は多く、根強いニーズがあります。業種はさまざまですが、総合商社やメガバンクといった大手企業、コンサルティングファームなどが比較的多い傾向があります。
2つめは、稀少、もしくは採用が難しい、高い技術を持った学生に対するニーズのケースです。トップレベルのプログラミング技能だったり、人工知能関連の研究だったり、あるいは自動車を自作する世界大会に出場するレベルの技術力だったりと、万国共通かつ世界水準でみても高い技能を持つ学生を採用するパターン。メーカーなどからのニーズが高い傾向があります。
3つめは現地幹部候補となり得る人材を採用するケース。企業の事業展開として、フィリピンやタイ、インドネシアなど、今後、強化を計画しているエリアにいる優秀な学生を採用して社内で鍛えることで、ゆくゆくは現地の幹部となってもらおうという期待を込めた採用です。中でも東南アジアエリアは、日本に来ている留学生の数が少ないため、現地に直接、学生を求めていく動きが見られます。
中国や韓国とは就活シーズンが重ならない
4つめとして、国内での新卒採用人数が予定していた枠に足りなかったために、その枠を埋める人材を海外に求めるケースも見られます。新卒求人倍率の高まりもあり、国内には新卒採用のピークが一段落した8月の段階で、内々定承諾者数が採用予定者数に満たない企業も少なくありません。
その点、中国の新卒採用のピークは10~11月、韓国でも9~10月と、ピーク時期が日本よりも遅いため、8月の段階でも自社で活躍しうる人材を選択する幅が広がるわけです。
外国人海外大学生採用を導入した企業の中には、一定の成果があったとの評価を踏まえ、今後も継続して伸ばしていこうと考えている企業があります。ただ一方、はたして本当に定着して活躍してくれるのかを検証したうえで、あらためて今後の展開を考えようとする企業も増えてきています。
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