「東武の新型特急」はロマンスカーに勝てるか 日光・鬼怒川観光活性化へ、ブランド力がカギ

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東京スカイツリーをバックに走る東武鉄道の新型特急「リバティ」のイメージ(提供:東武鉄道)

2017年夏から蒸気機関車(SL)の運転を計画するなど、このところ日光・鬼怒川エリアの観光テコ入れを急速に進める東武鉄道。その東武に2017年春、26年ぶりとなる新型の特急車両「500系」がデビューする。

新型特急の愛称は「Revaty(リバティ)」。近年、鉄道各社が導入する新型車両は有名デザイナーを起用する例が目立つが、この車両はフェラーリなどのデザインを手がけた奥山清行氏が代表を務める「KEN OKUYAMA DESIGN」が内外装のデザインを監修した。前面中央に連結時のための貫通路を設けた流線型のスタイル、江戸の伝統色であるという「江戸紫」色の座席など、趣向を凝らしたデザインが売りだ。テーブルは座席背面と肘掛けの2カ所に備え、コンセントも設置するなど、車内設備も充実している。

豪華観光列車とはちょっと違う

東武の特急列車「スペーシア」100系(提供:東武鉄道)

歴史ある観光地の日光・鬼怒川エリアだが、東武は最近になって矢継ぎ早に観光活性化のための施策を推進している。SL運転計画はもちろん、今年9月には由緒あるクラシックホテルとして知られる「日光金谷ホテル」などを運営する金谷ホテルを買収。さらに、米高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン」と組んで日光にホテルを開業する計画も報じられている。

東武の歴代特急列車は、主に日光・鬼怒川の観光輸送をターゲットとしてきた。現在のフラッグシップである「スペーシア」は、個室や広々とした座席を備えた豪華車両として1990年に登場。その先代の「1720系」もサロンルームなどを備え「デラックスロマンスカー(DRC)」の愛称で呼ばれるなど、いずれも豪華設備を誇る観光列車だった。

では、26年ぶりの新型特急「リバティ」も豪華観光列車かといえば、そのコンセプトはだいぶ異なる。最大の特徴は、3両編成を一単位として連結・切り離しを自在に行える構造であることだ。10月27日に行われた愛称名の発表会見で、同社の都筑豊・取締役鉄道事業本部長は「一つのダイヤで複数の目的地を持った特急を設定でき、目的地の違うお客様のニーズに乗り換えや待ち時間なく応えることができる」と語った。

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