昭和電工、黒鉛電極で「逆張り買収」の勝算

全プレーヤーが赤字の事業をどう立て直す?

市川秀夫社長は「今回の再編で効率化を進め、黒鉛電極事業を黒字化させる」と強調した(記者撮影)

化学メーカー大手の昭和電工が、構造不況に直面する不振事業でM&Aに動いた。

同社は10月20日、炭素・黒鉛製品メーカーの独SGLカーボン社から黒鉛電極事業を買収すると発表した。取得額は156億円。SGLカーボン傘下で黒鉛電極を手掛けるSGL GE社(昨年度売上高は430億円)の全株式を2017年半ばまでに取得する。

昭和電工は石油化学や化学品、アルミ、ハードディスクなど幅広い事業を手掛け、黒鉛電極も主力事業の一つだ。黒鉛電極は鉄スクラップを溶解して鋼材を生産する電炉の生産設備で、大電流を流して炉内を加熱する電極棒として使用される。

大手から下位まで軒並み赤字

電炉の電極棒として使用される黒鉛電極(写真上部分)は鉄鋼不況で需要が冷え込んでいる

電炉用の高グレード品で昭和シェルは世界3番手の一角。2位メーカーのSGL GE社買収により、世界シェアは3割前後にまで増え、米GTI社(グラフテック・インターナショナル)を抜いて最大手に躍り出る。

もっとも、この黒鉛電極の産業は近年厳しい事業環境にあり、大手から下位まで軒並み赤字に陥っている。高炉を中心とする中国鉄鋼メーカーの過剰生産で、電炉の操業度が世界的に低下し、消耗品である黒鉛電極の需要も細っているからだ。需給の悪化により、足元の黒鉛電極の販売価格は5年前の半値程度にまで落ち込んでいる。

こうした中、最大手の米GTIは業績不振で投資ファンドの傘下に入った。また、独SGLグループは昨年、利益が出なくなった黒鉛電極を非コア事業に格下げし、本体から分社化。事業の将来性に見切りをつけ、複数の企業と売却に向けた交渉を進めていた。

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