セブンがそごう・西武3店をH2Oに売るワケ 鈴木敏文元会長の"遺産"をようやく清算
10月6日、セブン&アイ・ホールディングスが3~8月までの半期決算を発表した。連結営業利益は前年比5.2%増の1814億円と半期ベースで過去最高益を更新するが、純利益は前年比60.4%減の334億円と大幅に減少した。
スーパー(イトーヨーカ堂)だけでなく、百貨店(そごう・西武)の閉店にも着手することに伴い、スーパー事業で167億円、百貨店事業で166億円の減損損失を認識することが響く。
そしてエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)と資本業務提携し、そごう神戸店、西武高槻店およびそごう西神店に関する事業をH2Oに承継させる方針であることを発表した。
百貨店を買収しない方が良かったのは明白
セブン&アイが、そごう・西武を買収して百貨店事業に進出したのは2006年だった。大手スーパーと百貨店の衰退、コンビニの成長が加速するタイミングでの買収で、いかにも間が悪かった。
買収後の10年は、決算が出るたび、グループの中で「好調のコンビニvs不振の百貨店・スーパー」の図式が鮮明になっていった。
2006年に百貨店を買収していなければ、セブン&アイはセブン-イレブンを中心にもっと身軽に成長を追求することができたはずだ。あの買収によってスーパーだけでなく百貨店のリストラまで行う重荷を背負うことになった。
その前年、2005年は、セブン&アイがグループ持ち株会社として設立された年だ。それまでは、収益低迷が続くヨーカ堂が親会社で、高収益を稼ぐセブン-イレブン・ジャパンが子会社の、いびつな資本構造だった。
「このままでは、ヨーカ堂のリストラが進まない」として、セブン&アイを親会社とし、ヨーカ堂・セブン-イレブン等を兄弟会社とする今のグループ構造が作られた。鈴木敏文元会長の強いリーダーシップがあったからこそできた、思い切った構造改革だった。ところが、グループに百貨店までつけ加えてしまったために、重荷を背負うこととなった。
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