「慰安婦」「歴史認識」問題を乗り越える道 「グローバル日本人」になるために読むべき本

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 日本人はどうやって日本人になるのだろうか? そんな誰もが意識したことがないことを、グローバル化という視点でとらえていくとどうなるだろうか? 21世紀のグローバル化が私たちに突きつけている問題は、国際標準語(英語)を話す国際人になることではない。日本人という確固たるアイデンティティを持って、世界を舞台に活躍できる人材になることだ。
 しかし残念ながら、日本で日本人の両親から生まれ、日本の教育を受けて育つと、真の日本人にならない。一人娘をアメリカと中国の教育で育てたジャーナリストが、その経験を基に、日本人とは何かを問いかける。
橋下徹大阪市長の発言は、世界中で波紋を呼ぶことになった(撮影:尾形文繁)

肩身の狭い思いをする、海外の日本人

日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)の「慰安婦」発言が、波紋を広げている。海外在住の日本人、日本企業駐在員、そして欧米に留学中の学生たちは、本当に困惑しているのではないかと思う。事実、「情けないです」「なぜ今この話をするのかわかりません」「肩身が狭いです」と、この連載を読んでくれている留学生たちからもメールが来る。

そこで、私の考えを述べておくと、橋下氏が間違っているか間違っていないかは、実はどうでもいいことだ。もううんざりするほど聞かされた「歴史認識問題」も、今更という感じである。

ただ、ひとつだけ言っておきたいのは、これは過去の歴史認識の問題ではないこと。第2次大戦中の歴史の話ではないこと。私たち日本人の「現代史」の問題だということだ。

なぜなら、慰安婦問題は、私たち日本人が作り上げた「現代史」だからだ。というのは、1992年までこの問題は存在しなかったからである。

慰安婦問題は、1992年1月の朝日新聞記事が発端だ。たとえば、5月14日の読売新聞の解説記事は、この経緯をはっきりと書いている。

私は学生時代からずっと朝日新聞を愛読している。しかし、いまだによくわからないのは、この新聞の想像力のたくましさだ。朝日新聞は、私の学生時代、中国の文化大革命を絶賛していた。それ以前は、北朝鮮を「理想国家、地上の楽園」のように報道した時期もあった。自国民を大虐殺したカンボジアのポルポト政権も賛美していた。

そして1992年、従軍慰安婦問題を突如取り上げ、「それがあたかも性奴隷だった」と報道したのである。

「黙して語らず」が最善の道

今、私たちは1940年代を生きているのではない。2013年を生きている。

2013年の世界では、「性奴隷」(sex slave)という言葉(英語)は、最大の人権侵害用語である。つまり、今の歴史観で過去が裁かれているのだ。となると、日本人自身が作り出してしまったこの問題を、何度も何度も取り上げるのは、自分たちを傷つけるだけではないだろうか。

21世紀のグローバル世界で、いまだにこんな問題で国内論争を繰り返している国を、世界はどう見るだろうか?

ありきたりだが、歴史認識に関しては、日本人の美徳とされる「黙して語らず」が最善の道だと思う。聞かれないかぎり、こちらから話す必要はない。私たちは敗戦国民である。ただ、あの敗戦以後、一度も戦争をしていない。しかし、アメリカはその後も何度も戦争をし、今も戦争を続けているのだ。韓国は徴兵制を敷き、いまだに北朝鮮と一触即発の関係にある。

私の娘がアメリカに留学していたとき、アメリカはイラク戦争を戦っていた。だから、私と同年代のアメリカ人の父兄の中には、自分の息子をイラク戦争で亡くした者もいた。そういう父兄と、はるか昔の、自分が体験したこともない戦争の話などできない。残念だが、橋下氏には、相手の立場を思いやる想像力がないと思う。

繰り返すが、私たちは2013年のグローバル世界を生きている。

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