出光と昭和シェル、迷走する経営統合の行方

創業家とは没交渉、期限延長でも拭えぬ不安

都内で会見する出光興産の月岡隆社長(右)と昭和シェルの亀岡隆社長(左)(撮影:尾形文繁)

「会見を開いたのも、われわれからの創業家のみなさんへのメッセージだ」――。出光興産の月岡隆社長は、対立する創業家側にそう呼びかけた。

出光興産と昭和シェル石油の経営統合が混迷を深めている。10月13日夕方、出光の月岡隆社長と昭和シェルの亀岡剛の両社長がそろって会見を行い、2017年4月に予定していた経営統合の時期を撤回すると発表した。新たな統合時期は明示せず未定としたが、事実上の延期にほかならない。

創業家と3カ月も協議していない

出光と昭和シェルは2015年7月に経営統合で合意した。ところが、今年6月28日の出光の株主総会で、出光昭介名誉会長の代理人である浜田卓二郎弁護士が合併反対の演説をブチ上げ、取締役全員の選任に関する反対投票をしたことで、創業家と経営陣の対立が白日のもとにさらされた。

経営統合を巡る両者の齟齬は、すでに2015年末から始まっていたが、この一件を契機にお互いが、過去の交渉経緯や文書を暴露したこともあり、注目度が一気に高まった。

創業家側は経営統合を本気で阻止しようとしている。8月3日には昭和シェルの40万株(議決権の0.1%相当)の取得を発表。さらなる昭和シェル株の追加取得を示唆する創業家と、出光が英蘭ロイヤルダッチシェルから取得予定だった昭和シェル株の合計が1/3を超えることで、経営陣が意図しない株式公開買付(TOB)をせざるを得ないように追い込んだ(スキームについては関連記事参照)。

これ以降、創業家側はインサイダー取引を問われる疑念があることを理由に、出光の経営陣から協議再開に一切応じない姿勢を貫いている。もちろん経営側も手をこまぬいていたわけではない。交渉再開を呼びかけることもしてきたが、創業家のガードを崩せないまま、7月11日の第3回目の面談以降、「3カ月も直接協議することが出来ない」(出光の月岡社長)という、膠着状況が続いてきた。

出光はすでに9月7日に、英蘭ロイヤルダッチシェルからの昭和シェル株取得時期を当初予定の9月中から、10月~11月への延期を公表している。会見ではこの時期については変更しない方針を表明しているが、現状を考えれば実現は困難と言えよう。

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