閉幕したシーテック、実は「大激変」していた テレビ見本市の時代は終わった、次はIoTだ

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一方で、日立は今年、4年ぶりにシーテックに帰ってきた。日立は「今年のシーテックは(さまざまな機器をネットにつなげる)IoTに注力している。社会イノベーション事業でIoTを推進している日立と方向性が合致する」と出展の意義を語る。

日立はロボット「エミュー3」を披露

日立が帰ってきたのには理由がある。ジリ貧状態を脱するために、シーテックは今年、看板のかけ直しに踏み切っていたのだ。

シーテックの運営は電機・電子・半導体の3業界団体の主催で、運営を担う幹事団体はJEITA(電子情報技術産業協会)とCIAJ(情報通信産業ネットワーク協会)の持ち回り制となっている。今年の幹事はCIAJだ。

2000年の開始以来、シーテックは「IT・エレクトロニクス見本市」を掲げてきたが、今年はその旗を降ろした。新たに掲げたのが「CPS/IoT EXHIBITION」。CPSは「サイバー・フィジカル・システム」の略。実世界(フィジカル空間)にあるデータを収集し(インターネット上などの)サイバー空間で分析し、そこで創出した情報や価値で産業活性化や社会問題の解決を図るものだ。

従来の看板を掛け替え、出展企業を募った

昨年まで千葉・幕張の会場近辺のホテルで開催していたオープニングレセプション(前夜祭)を、東京・大手町で開催したのは、政治家や官僚が参加しやすくするためだった。

この背景には「IoTの共通基盤を創るうえで、政治・産業・省庁との連携が欠かせない」という主催者側の意図がある。今年はレセプションに安倍晋三首相が参加し祝辞を述べたが、首相の参加はシーテック開始以来初めてのことだった。

主催団体の一つ、JEITAの長尾尚人専務理事は「今年は再生シーテック元年だ」と語る。「モノ単体を見せるだけの『家電見本市』は少なくとも先進国において、すでに使命を終えている。世界最大の見本市である米CESですら、新興企業のブースが過半を占め、商談の場と化している一方で、先進的なメーカーの中には新製品を陳列するのを止めた企業も少なくない」と、旗印を変えた理由を語る。

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