アマゾン読み放題、勝手に「20社削除」の衝撃 講談社、小学館など大手出版社も困惑

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もし「予算を超えたので上乗せ契約を見直したい」というのであれば、それはアマゾンが出版社と協議する話である。何の断りもなく作品を全削除するという手法に打って出るのは、ビジネスマナーの基本を逸脱していると批判されても仕方がないだろう。

削除の背景について、「米国と異なり、日本ではコミックがよく読まれ、アマゾンの想定をはるかに超えたのが作品の全削除につながった」との報道もある。だが、講談社はコミックを1作品もアマゾンの新サービスに提供していない。日米のコミック事情の違いだけでは、今回のアマゾンの対応は説明がつかないのだ。

今回、全作品が削除されたのは講談社だけではない。小学館、光文社、朝日新聞出版、三笠書房、東京書籍、白泉社、芳文社、フランス書院など、一時は20社前後に及んだとみられる。サービスの開始からほどなくして、こんなにも掲載を制限した以上、無制限を意味する「アンリミテッド」は「看板倒れ」と言われても仕方がないだろう。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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