不妊治療にはいくらかかるのか? コスト別 カップルのための治療戦略

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二つ目のステップである人工授精とは、細いチューブ(カテーテル)を用いて、精子を女性の子宮あるいは卵管に人工的に送り込む方法です。受精は患者さん本人の卵管で行われるので、完全な自然妊娠です。

田中雄大(たなか・ゆうだい)
メディカルパーク湘南院長
1997年慶応義塾大学医学部卒。大和市立病院産婦人科などを経て、2012年より現職。著書に『不妊症の最新治療戦略』。

特に男性は、「人工」という名前に抵抗感を持つ傾向があります。女性はやる気満々なのに、男性が「そんな人工的なことまでして子どもが欲しくない」と言って、治療が滞るケースが多くあります。ただ、男性にもしっかり説明すれば、多くの場合、わかってもらえます。

精液所見が正常な男性と不妊原因の認められない女性のカップルの場合、人工授精の1周期当たりの妊娠率は、7~9%程度です。4~5周期続ければ、累積妊娠率は20%程度にまで上がります。ただ、それ以上回数を増やしても、妊娠率は上昇しませんので、5周期行っても妊娠しない方には、体外受精などへのステップアップを勧めています。

人工授精の料金は1回当たり約1万5000円です。不妊治療は高額なイメージがありますが、人工授精までなら、家計を大きく圧迫するほどの負担にはなりません。

自然妊娠の可能性をできるだけ追求すべき

一般不妊治療(タイミング法と人工授精)で2~3年以内に4~5割の方が妊娠しますが、施設によって成功率は多少バラツキがあります。

一般不妊治療で妊娠しない場合、一般的に2年間、35歳以上の方は約半年で、体外受精へ移ることを勧めるのが一般的です。

患者さんにすぐ体外受精を勧める病院もありますが、当院では、できるだけ一般不妊治療による自然妊娠の可能性を追求しています。日本人の感覚からすると、自然に妊娠できるに越したことはありません。

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