すかいらーくの改革、切り札はマックOB  人材をかき集めるすかいらーくと流出するマック

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現在、すかいらーくの経営中枢を占めるのは外部出身のスペシャリスト。取締役ですかいらーく育ちなのは谷真社長のみ。7人いる執行役員でプロパーは購買と生産部門担当の2人だけで、残り5人はほかの外食や金融機関出身だ。

その中でもマクドナルドOBが目立つ。アルバレス氏のほかにも、執行役員としてマーケティング部門のトップには韓国と日本のマクドナルドで辣腕を振るったジョン・キム氏、店舗業務担当には日本マクドナルドから移った遠藤久氏が就く。広報や店舗建築など各部門の部長級にもマクドナルド出身者がそろっている。

すかいらーくは、マクドナルドのような効率的な経営体制を目指し、店舗運営、メニュー開発、ブランド戦略や店舗設計など、あらゆる方向で見直しを進めている。

ここに来て経営改革を加速するのには、再上場へ道筋をつける狙いがありそうだ。再上場について会社側は明言を避けるが、アベノミクスで株式相場が好調な今は絶好の機会であることは間違いない。

マックは人材流出が続く

すかいらーくへの人材の供給元となった日本マクドナルド。04年に原田泳幸会長兼社長が代表権を握ってから、金融機関やコンサルティング会社などから多くの人材を採用、幹部として重用してきた。その一方、経営方針の違いから多くのたたき上げの人材が退社した。

業績が伸び悩むようになった11年以降は、たたき上げか外部出身かを問わず、幹部の流出が続いている。すかいらーくに転じた人材以外でも、管理部門の要職を歴任した安田隆之氏(コーヒーチェーンのコメダ社長)、NTTドコモと合弁で携帯電話を使った「かざすクーポン」の事業化を推進した前田信一氏など、役員級の人材が会社を去った。

すかいらーくとマクドナルドは日本の外食産業を牽引し、業界に多くの人材を輩出してきた。しかし、すかいらーくは回復途上、マクドナルドは12年12月期に7期ぶりの営業減益となった。人材の有効活用によって、業績の改善を進めることができるか。

(週刊東洋経済2013年5月11日号)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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