ヤフーは週3休と新幹線通勤でどう変わる? デスクはジグザグ配置でフリーアドレスに

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新オフィスお披露目の場では、「新幹線通勤制度」(月額15万円が上限)のほか、社員の心身の健康増進を推進するチーフ・コンディショニング・オフィサー(CCO、宮坂学社長が兼任)の導入などが明かされた。

最も目を引くのは、「週休3日制度」の実現に向けた動きだ。本間浩輔・コーポレート本部長は「全社員にすぐ導入できるようなものではないが」としたうえで、「人事・評価制度的に成果に応じて給与を払う形が整っていけば、(働き方に)もっと自由度はあっていい」と意欲を見せる。「AI(人工知能)や機械学習を駆使し、作業に割かれる時間を減らすことで、週休3日を実現したい」(川邊副社長)。

大事なのは本当に運用されているかどうか

ヤフーは国内最大規模のニュースインフラとして地位を盤石化する一環で、地域性や興味・関心など、よりユーザー個人の属性を反映したサービスの充実を図っている途上。だからこそ社員についても、生産性を維持・向上しながら、画一的な働き方から脱却してほしいと望む。介護や育児に時間を振り分けたり、地域活動に参加したりするどして、そこから得られる学びを次の業務やサービス開発に生かしてほしい、という思惑があるのだろう。

これに先駆けて導入している、オフィス以外の場所で執務することができる「どこでもオフィス」の制度では、従来の月間2回までという制約を月間5回までに拡大している。「給料は、勤務時間や働き方(を守ること)に対して払っているわけでなく、業績に対して払っている。成果を上げるために適した場所で働いてもらえれば」(本間本部長)。

とはいえ、重要な課題も残っている。どこでもオフィスの利用状況を尋ねてみると、「使う人は、本当にフルに使っているんですけどね……」(本間本部長)と、あいまいな反応。「自分の周りで使っている人はほぼいない」(同社の30代社員)という声も聞かれる。ヤフーの画期的な試みが成功するかどうかは、作った制度を社内にどう浸透させていくかにかかってくるだろう。

(撮影:尾形文繁)

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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