電通、デジタル広告で"不適切取引"の裏事情 顧客トヨタの指摘で発覚、広告の未掲出も
金額は大きなものではなかった。だが、電通にとってはかなりの痛手となりそうだ。
9月23日、広告代理店大手の電通は東京証券取引所で会見を開き、デジタル広告サービスについて不適切な取引があったことを発表した。広告の掲載期間がずれていたり、広告が掲載されていなかったというものだ。
不適切な疑いのある案件は633件、111社にのぼり、金額は合計2億3000万円。そのうち未掲載にもかかわらず、広告主に請求した額は320万円だった。中本祥一副社長らは会見の冒頭、「広告主、関係者、株主の皆様に多大な迷惑をお掛けしました」と謝罪した。現時点で、業績に与える大きな影響はないという。
「効果が出ていない」、広告主の指摘で発覚
一連の不正が発覚したきっかけは、広告主であるトヨタ自動車の指摘(7月)だったという。「広告を出稿したにも関わらず、その効果が出ていない」といった指摘を受けて電通が調査すると、故意もしくは人為的なミスにより、間違った時期に広告が掲載されていたり、掲載されていなかったり、広告の運用状況に虚偽の報告が含まれていることがわかったという。
電通は8月に中本副社長をトップとする社内調査チームを立ち上げ、現在も調査を進めている。広告主には個別の結果がまとまり次第報告し、すべての調査は年末までに終える見通しだ。
今回の焦点となったデジタル広告には、グーグルなどの検索エンジンで検索した際に、そのキーワードに連動して表示される「検索連動型広告」や、広告主が狙ったユーザーに広告を表示すると同時に、その効果に見合った金額で出稿できる仕組みなどが挙げられる。
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