もし黒田日銀総裁が再任されなかったら 金融緩和川柳「日銀の苦労打算が見え隠れ」

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とはいえ、長期金利(≒10年国債利回り)をゼロとして、量的緩和は物価上昇率が安定的に2%を超えないと撤回しないというインフレ目標の実質的引き上げは、「物価上昇率が2%になるまで、政府はゼロコストで借金できる」ことを中央銀行が約束している訳だから、これは、ずいぶん大胆な政策だという評価も出来る。政府が国債を増やせば、自動的に「ヘリコプター」が飛ぶ仕掛けだ。

「アベ・クロ」の真の関係はいかに?

今回の新政策が黒田東彦日銀総裁の苦心作であることは間違いない。これまで、黒田総裁が、インフレ目標達成のために、それなり以上に努力をしてきたことは認めて良かろう。

しかし、黒田氏が総裁就任時に掲げた「2年で、(消費者物価上昇率が)2%」の目標は達成されていないし、いつ達成されるのかの目処は見えていない。黒田時代以前と比べると、物価は上昇に転じており、雇用は改善しているので、今までの政策に効果が無かった訳ではないと評価することがフェアなのだが、当初の約束が達成できていないことも事実だ。

喩えるなら「2年以内に結婚して君を幸せにすることを約束する」と言っていた男が、相手の女性を少しは幸せにしたものの、外的要因(何だろうか?)に妨害されて、結婚の約束が果たせなかったような状態が、現在の黒田氏の状況だ。

真剣な恋愛であれば、当時は空手形になる可能性があっても「2年以内に結婚する」というくらいのことは言い切らねばならなかっただろうし、今も「必ず結婚できるようにするから」と言い続けるしかない。「嘘つき!」と言われるのは、さぞ辛かろう。

さてこうなると、気の早い話だが、投資家としては、黒田総裁が任期を迎える2018年に一体どのような状況になっていて、次の総裁が誰になるのか(黒田氏の続投も含めて)が気になるようになってきた。

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