貧困者を救済するには、何をするべきなのか

激論!鈴木大介×「失職女子」大和彩<後編>

貧困状況にある当事者にとって、経緯を言葉で説明するのは時として希死念慮(死にたいと思う気持ち)の引き金になる。思いを社会に伝えるには、どうアウトプットしたらいいだろう(撮影:今井康一)
貧困のただ中、もしくはその周辺にいる若者やシングルマザーを取材してきたルポライター・鈴木大介さんと、『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで』の著者・大和彩さん。このふたりは、約1年半前に脳梗塞に倒れ高次脳機能障害とともに生きる現在を『脳が壊れた』に著した鈴木さんと、過去の虐待経験や長引く貧困生活の影響で、うつ病やパニック障害はじめ心身に多くの不調を抱えた大和さん、でもある。
鈴木さんは、本人の意図と関係なく困難を背負わされ、生きづらい状態のまま社会に放り出されている人たちに対して「まずは“痛み、苦しみの緩和”を」と呼びかける。

 

前編貧困を議論するより「痛み」の緩和が先だ

注意のバランスが悪くなり疲れ果てる

鈴木:大和さんは、感情や負の記憶で頭と心がいっぱいいっぱいになることはありませんか?

大和:過去の嫌な記憶を無駄に覚えてしまっていて、苦しくなることはよくあります。

鈴木:それは注意障害のひとつと考えられそうです。注意障害とは物忘れやケアレスミスなど注意力が弱くなることですが、それに加え、注意のバランスが悪くなるんです。自分が注意したくないこと、たとえば負の記憶や感情に過剰に注意が働いて、それが何度も何度も繰り返されることで強化される。僕自身も、嫌いな人のことで頭と心が全部占められて、その人以外のことは何も考えられなくなり、つらくてつらくて疲れ果てていた時期があります。

大和:それを人に話すと『昔のことを気にしてもしょうがない』といわれますが、私の場合、寝ている間にフラッシュバックして、パニック障害が起きます。寝ながらどなったり体をジタバタさせて、周囲の物を壊してしまうことも、しょっちゅうです。

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