花王、「ヘルシアコーヒー」の僥倖 激戦のトクホ飲料市場、シェア奪回期す

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従来テレビCMが主体だった広告媒体は、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、電車内広告など多面的に展開する。メインターゲットであるビジネスパーソンの生活動線上で、1日に複数回、目にしてもらう機会を設けるためだ。

また、総勢10万人にヘルシアコーヒー無糖ブラック1ケース(30本)を贈呈するという、ヘルシアシリーズでは最大規模となるモニターキャンペーンも実施する。花王が事前に行った検証では、飲み始めてから1カ月程度で効果を実感し始める例が大多数だった。まずは継続的な飲用からファンづくりを進めたい考えだ。

キャンペーンへの応募条件は、30日間ヘルシアコーヒーを1日1本飲み、花王の特設サイトに毎日健康記録を入力すること。健康記録はツイッターやフェイスブックの個人アカウントと連動させることができ、自身のフォロワーや友人に任意で発信できる機能を付けた。

口コミ効果も狙う

「SNSの普及とともに、自身の情報をオープンにしてダイエットや健康管理に取り組む人が増えている」(小出氏)。参加者の健康作りのサポートをしつつ、参加者以外への口コミの拡散につなげ、他社製品との差別化を図りたい狙いもある。

花王にとって、成熟市場の国内で数少ない成長が望めるのがヘルスケア分野。唯一のトクホブランドであるヘルシアシリーズは、収益以上に花王ブランドのキモになる。「ヘルシアコーヒー」には、競合に先行したアドバンテージを武器に、「コーヒートクホ」という新しい分野で圧倒的なブランドを確立することが求められる。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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