「ヤシノミ洗剤」46年続くロングセラーの秘訣 巨大企業と戦う「小さな会社」のブランド戦略

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競合ひしめく洗剤業界で、小さな会社の商品が46年も売れ続けているワケとは?(撮影:今井 康一)
サラヤの食器用洗剤「ヤシノミ洗剤」は発売から46年の長寿商品。排水が川や海の環境汚染を招かないエコ洗剤の代名詞的存在だ。衛生商品市場はP&G、花王、ライオンなど大企業がひしめき、大きな予算のCMを打ってくる激戦区。ところが、大企業のような巨費をかけずに、小さな企業サラヤがヤシノミ洗剤のブランド力を高め、半世紀も売れ続けている。その秘訣を、新刊『これからのビジネスは「きれいごと」の実践でうまくいく』を上梓したサラヤ代表取締役社長・更家悠介氏が明かす。

日本一ブランド力のあるエコ洗剤

目先の利益よりも企業理念が会社を伸ばす。時代を先取りし、多様なニッチトップ商品を持つなど、「ソーシャルビジネスの雄」として各方面から注目を集めるサラヤのトップがすべてを語る

サラヤのヤシノミ洗剤が生まれた1971年は高度経済成長期で、公害が社会問題となっていて、家庭排水による河川の汚染も深刻でした。そこで、環境にも手肌にも優しい天然の植物油で作ったのがヤシノミ洗剤です。当時、エコをコンセプトにした洗剤は日本初でした。

ロングセラーの秘訣というか、理由なのですが、商品のことを皆様によく知っていただいているのが何よりも大きいと、私たちは考えています。

食器用洗剤についての意識調査では、ヤシノミ洗剤は「手肌にやさしいブランド」と「環境にやさしいブランド」の2つの部門で、8年連続で日本一になっています。ヤシノミ洗剤のこの2つの大きな利点を、皆様がよくご存じということなのですが、おかげさまで商品の根強いファンになっていただくケースが多い。

事実、商品のリピート率は9割を超えています。この根強いファンの多さこそブランド力の証明であり、ロングセラーの源泉なのです。

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