小林麻央さんも闘う「若年性乳がん」の真実

30代患者の約6割は自己発見で受診している

世界的規模でピンクリボンのような乳がん啓発キャンペーンが行われているが、やはりカギを握るのは早期発見だ(写真:wavebreakmedia/PIXTA)

歌舞伎俳優・市川海老蔵さんの妻、小林麻央さんが35歳以下で発症する若年性乳がんの闘病中で、9月に開設されたブログが注目されている。そんな中、会社員の30代のA子さんは、ふと「自分は大丈夫だろうか」と考えるようになったという。母や祖母など親族に乳がん患者はいないが、祖父は胃がんで亡くなった。「親族にがん患者がいると乳がんになりやすいのではないか」と思い、検査を受けるべきかどうか悩んでいる。

そこで若年性乳がんについて、乳がん治療のスペシャリスト、がん研有明病院乳腺センターの大野真司センター長に話を聞いた。まずは、昨今、若年性乳がんが増えているといわれる現状について、大野センター長は次のように説明する。

「国立がん研究センターがん対策情報センターの年齢別乳がん罹患率の推移では、39歳以下は5.9%です。圧倒的に40代以降の乳がん罹患率は高く、日本では50代~60代での乳がん罹患率が急上昇しています。国際比較のデータでは、先進国は50歳以上の割合が高く、開発途上国は49歳以下の割合は高い。かつて日本も1975年頃は、49歳以下の割合が高かったのですが、現在は逆転しています。それは、細胞の遺伝子変異と食生活に関係していると考えられますが、はっきりしたことはまだわかっていません」

気になる家族性乳がんとのかかわり

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閉経前の乳がんのリスク要因は、飲酒、喫煙、高身長、出産時の体重が重い、初経年齢が早いなどはほぼ確実で、夜間勤務も可能性があるとされる。逆に、発症リスクを減少させる要因は、妊娠、出産、授乳、初産年齢が低いとされるが、小林麻央さんのように2児の母でも若年性乳がんになるため、これらの要因に当てはまるからといって乳がんになる、ならないとはいえないのが現状だ。

がんは、細胞の遺伝子変異がかかわっている。中でも、がんを抑制する「BRCA1」と「BRCA2」の遺伝子変異があると、がんの発症リスクは高い。米国女優のアンジェリーナ・ジョリーさんは、「BRCA1」に変異があったことから、乳がんと卵巣がんの発症リスクを抑えるために予防的に乳房と卵巣、卵管を摘出する手術を受けた。日本でも、明らかに乳がんや卵巣がんのリスクの高い遺伝子変異を持つ人に対しては、予防的な切除が行われるようになっている。

「若年性乳がんイコール、BRCA1やBRCA2の変異がかかわるわけではありません。アンジェリーナさんのように、親族の中に乳がんや卵巣がん、前立腺がんなどたくさんのがん患者さんがいるケースではリスクは高まり、それを家族性乳がんと称します。遺伝子を調べれば変異はわかり、当院でも20例以上の予防的な卵巣・卵管切除を行っています。しかし、若年性乳がんの人のすべてがそうではないのです」(大野センター長)

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