JR、メトロ、東急…使える「鉄道アプリ」は? 運行・駅情報から混み具合、遅延証明書まで

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機能が充実した東京メトロのアプリ

京浜東北線、途中で山手線に乗りかえてJR東日本アプリを試用したところ、位置情報はだいたい正確、遅れのないことが表示され、そのとおりに遅れずに列車は到着した。JR東日本アプリは、正確に位置情報を提供しているといえよう。また山手線では「山手線トレインネット」での車内の混雑情報が乗る上で参考になるとわかった。

東京駅から大手町駅に移動し、東京メトロ東西線に乗る。東京メトロのアプリは、列車位置情報が列車の走っている位置より少し遅れて表示される。ただし、乗車した列車がどこまで行くのかを表示する機能は、乗り入れの多い東京メトロの利用時に便利だ。

筆者は三鷹行きに乗り、そのまま吉祥寺まで乗ってみることにした。中野駅で、東京メトロの線路からJR東日本中央・総武緩行線の線路に乗り入れる。駅についてからどれくらいでJR東日本アプリに表示されるかを見ると、発車間際に表示された。列車の走っている位置はだいたい正確だった。

案内を直接乗客の手もとへ

帰宅後、筆者の東急線アプリには「田園都市線の運転について」という「お詫びとお願い」のメッセージがプッシュ通知で届いており、桜新町駅で手信号で運行していること、運転本数を5割程度に減らし、通常よりも大幅に所要時間がかかっていること、東横線・目黒線への迂回乗車を呼び掛けていた。

JR東日本のアプリは、機能も多くて正確だ。東京メトロのアプリは、情報量も多く鉄道に乗る上で参考になる。東急のアプリは、大幅にダイヤが乱れたときには情報の伝わり方が遅いが、その後のフォローはちゃんとしている。

運行情報を提供している各社とも、鉄道に乗る上で役に立つ情報を配信している。その上でなにを提供できるかということに関しては、東急のプッシュ通知はたいへんにすぐれた機能である。通りいっぺんの運行状況のお知らせだけではなく、ていねいな状況説明や乗客へのお願いをこの機能で伝えていた。

鉄道は、ふつうに動いて当たり前のものであると一般には認識されている。それが崩れると、たちまち人の心はとまどう。そういったときに適切な対応ができるものとして、東急のアプリはすぐれている。

スマートフォンのアプリによって、鉄道会社はこれまで駅構内やホームページに掲げていた案内を、直接乗客の手もとにプッシュ通知することができるようになった。鉄道会社と乗客をつなぐ新たなコミュニケーションの手段として、各社ともアプリの開発に力を入れていただきたい。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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