テンプHD、大型M&Aで王者リクルート追う 人材サービス大手、インテリジェンス買収の狙い

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人材派遣の「テンプスタッフ」などを傘下に持つテンプホールディングスは3月26日、人材サービス大手のインテリジェンスホールディングスを買収すると発表した。4月に米投資ファンド、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)などからインテリジェンスの全株を510億円で取得し、完全子会社化する。純有利子負債を足した企業総価値(エンタープライズバリュー)は680億円となる、ビッグディールだ。

同日、東京都内で開いた記者会見でテンプホールディングスの篠原欣子会長兼社長が「インテリジェンスは職業紹介やメディア事業で圧倒的な強みを持っている。今回の協力関係はまたとない良縁。この良縁を大切に、お互いの強みを発揮することにより、雇用の課題を解決することで世の中のお役に立っていきたい」と発言すれば、インテリジェンスホールディングスの高橋広敏社長が、「われわれの最良の選択は、テンプホールディングスとともに新しい人材のプラットフォームを作っていくこと」と返し、相思相愛によるM&Aを強調した。

テンプはパソナを大きく引き離す人材サービス2位に

買収により、テンプは単純計算(実績値ベース)で売上高3030億円、営業利益131億円、今年度(2013年3月期)の会社予想では売上高3272億円、営業利益173億円の規模となる。業界首位のリクルートの人材関連売上高(4934億円、12年3月期)との差はまだ大きいが、売上高で人材業界3位のパソナグループ(1814億円、12年5月期)を大きく引き離す単独2位となる。

テンプホールディングスの篠原欣子会長兼社長

テンプホールディングスは、篠原会長兼社長が1973年に設立したテンプスタッフが08年に名古屋地盤のピープルスタッフと経営統合。主力は一般事務派遣だが、金融向けなど専門事務職派遣にも強みを持ち、09年には技術者派遣の日本テクシードも傘下に収めている。

一方のインテリジェンスは、もともと宇野康秀USEN元会長らが創業した。かつてはジャスダックに上場もしていたが、08年にUSENの完全子会社化によって上場廃止。リーマンショック後の派遣業界の市場縮小を受けて業績が悪化。USENが自社の財務改善のため、10年に325億円でKKRに売却していた。

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