途上国のヘルスケアに日本は貢献できる

国連の「持続可能な開発目標」でも推進役

ジカ熱が流行したパナマで蚊の駆除。環境の改善が重要だ(写真:ロイター/アフロ)
UNDP(国連開発機関)は、国連の1機関で、主に途上国のヘルスケアや貧困、災害復興など、技術と資金的な側面からの支援を行う。1966年の発足以来、国連機関や各国政府、民間企業などと協力し、170以上の国・地域で問題解決のためのプロジェクトを実施してきた。プロジェクトの遂行に当たっては、加盟各国からの公的支援に加えて、民間企業からの支援も組み合わせ、単なる施しではなく、支援をきっかけに自立を促す活動を行っている。
2015年9月には国連2030年を目標に先進国、途上国を問わず、すべての国を対象とした社会課題を提示した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、具体的な目標として「持続可能な開発目標」(SDGs)が策定された。SDGs実行の中核的な存在となっているのがUNDPだ。日本もSDGs採択国のひとつであり、6月に行われた伊勢志摩サミットでも、主要な課題として掲げられた。UNDPとSDGsのかかわり、日本の果たす役割などについて、UNDP政策プログラム支援局長のM・M・ソリマン氏に聞いた。

 

――UNDPのこれまでの成果は。

UNDPは開発機関であり、さまざまな分野での成果を挙げていますが、ヘルスケア分野においてはHIVや結核、マラリア、NTDs(顧みられない熱帯感染症)、非感染症などの問題に取り組んできました。貧しい国の制度の改善、医療制度へのアクセス改善の支援を行っています。政府サイドには、予算の多くを公衆衛生に割り当てるように奨励しています。

開発レベルについて医療・健康問題も含め指数化

重要な成果は4つあります。ひとつは、各国の開発レベルを公平に測定するための基準を作ったことです。われわれは人間開発指数と呼んでいますが、医療・健康問題、所得、教育レベルを含んでいます。医療・健康問題は人間開発指数の中で重要な要素になっています。

2つ目は、HIVに関して、です。HIV撲滅を目指す戦いのなかにある「差別によるマイナスの影響」を議論の中に取り込んだこと。

3つ目は、SDGsの中に、健康・医療を中心的な問題としてすえたこと。これによって、各国政府に健康増進のためにより多くの投資をするように奨励していくことができます。

4つ目には、エボラ、ジカ熱などの危機にあたって、さまざまな知識や資産といったツールを使うことができるようになったことがあります。

こういったさまざまな問題がある中で、日本には、すべての人が高度な保健サービスを享受できる「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」の目的が達成されるように、UNDPへのサポートを期待したい。

SDGs:「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)。2015年9月に国連本部で採択された全加盟国が共有する課題。「貧困をなくす」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」「働きがいと経済成長」「不平等をなくす」「気候変動への具体策」など17の目標と169のターゲットからなる。単純な公的機関による支援でも、民間企業のいわゆる「国際貢献」でもなく、「社会課題をビジネスで解決する」という基本的な流れの中で、民間セクターの国際ビジネス活動を通した達成が期待されている。
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