くら寿司、「シャリコーラ」人気沸騰の舞台裏 甘酒ベースの炭酸飲料は何がスゴイのか

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シャリとカレーを組み合わせた異色メニューで、発売当初は「くら寿司はどこに向かっているんだ」と、顧客の間で賛否両論がうずまいたほど。ただ、話題性やインパクトは抜群で、発売から3カ月で累計100万杯を突破する人気メニューとなった。

余勢を駆って、今年3月には「すしやのうな丼」、5月には「冷やし中華はじめました」というユニークなネーミングの商品を相次いで投入。特にうな丼は、お年寄りからも支持を得ているようで、既に累計400万杯以上を売り上げている。

サイドメニュー拡充は業績にも好影響

象徴的な異色メニューのシャリカレー。実はサイドメニューの採算は高い(撮影:今井康一)

そしてサイドメニューの拡充効果は、業績へと顕著に表れている。くらコーポレーションの2016年10月期は、売上高1100億円(前期比4.5%増)、純利益41.6億円(同0.4%増)と、前期に続いて過去最高純益を更新すると会社は見通している。 

とはいえ、この会社計画は大きく超過しそう。シャリコーラを投入した7月の既存店売上高は、前期比6.8%増と大幅に増加。客単価はほぼ前年並みだったが、客数が6%増だった。くら寿司は通期ベースの既存店売上高を前期比1.5%減と慎重にみているため、7月までの好調ぶりからすると、既存店売上高が会社想定を上回る可能性は十分にある。

サイドメニューの拡充は、利益率向上にも直結する。回転寿司の場合、鮮度の求められる魚介類を扱うこともあり、原価率が高い。一般的な外食チェーンの原価率30%に対して、回転すしチェーンは46~48%と言われる。ところが、採算よいサイドメニューの販売増が続くくらコーポレーションの今上期の原価率は45.7%。業界平均を下回っているだけでなく、前年同期に比べても0.5%改善した。通期ベースでも利益が底上げされることは間違いなさそうだ。

販売を再開したシャリコーラが呼び水となり、店頭の賑わいを続けることができるか。くら寿司の行方から目が離せない。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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