コーヒーに全てを捧ぐ男のこだわりと寄り道 「至高の一杯」の裏には妥協のない努力がある
コーヒーハンターの豆一粒への愛情とこだわり
――(ミカフェートにて)挽きたての香ばしい香りに包まれています。
川島良彰氏(以下、川島氏):香りの正体はこの焙煎室で、ドイツのPROBAT社製が2台と日本製1台の焙煎機が稼働しています。毎年決まった契約農家から送られてくる豆でも、年によって作柄は違うので、最適な焙煎度合いを探るため、10通りぐらいをここで試しています。
カッピングルームでは、ライセンスを所有したスタッフが、その日に焙煎した全てのコーヒーをカッピング(焙煎度合いと味の確認)し、焙煎ごとのプロファイリングデータに結果をインプットし管理しています。私のテイスティングもこちらで行います。
ソーティング(欠点豆の排除)にもこだわっていて、農園で事前に選別されて送られてきた豆を、さらにこちらでブラックライトにあて、白みがかった未成熟の豆を、ハンドソーティング(手選別)により取り除きます。焙煎後も熟練のスタッフによって、もう一度ソーティングされます。ミカフェートの新入社員は皆、最初にこの過程を経験しています。
保存も大切で、元麻布にあるセラーもここの倉庫も、常に18℃に保たれています。ただ、輸送中に劣化をしてしまっては元も子もないので、輸送方法からこだわっています。普通は麻袋に入って輸入されてくるのですが、麻の匂いと油が、豆に移るのを防ぐために専用の内袋に入れるようにしています。また、うちの最高品種であるグラン クリュ カフェは空輸、その他の豆は、温度管理ができるコンテナを使用しています。これは、産地でできあがった品質を、同じ状態でお客様に届けるためには必須と考えているからです。