「朝活」に対応?鉄道各社も「朝型」電車を増発 始発繰り上げや早朝重視のダイヤ改正広がる

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このほかの鉄道でも早朝時間帯のダイヤを充実させている。東急電鉄田園都市線は、今春のダイヤ改正で中央林間(神奈川県大和市)発の始発電車を7分繰り上げ、従来は渋谷6時00分着だったのを6分早い5時54分着とした。東急も昨年春に目黒線でラッシュピーク前の増発などを中心としたダイヤ改正を行い、朝早い時間帯の利便性向上をアピールしたポスターを掲出するなど、早朝のダイヤに力を入れる傾向が見られる。

東武東上線の「TJライナー」用車両。同線も今春のダイヤ改正で川越市発の始発電車を繰り上げた(写真:Yoshimasa / PIXTA)

今春のダイヤ改正で、朝方に座席定員制の「座れる通勤列車」TJライナーの運行を開始した東武鉄道の東上線も、同時に川越市(埼玉県川越市)発池袋行きの始発電車を準急とし、川越市駅の発車時刻を7分繰り上げた。池袋着は従来よりも14分早い5時29分に。早朝の新幹線や飛行機の利用者に対する利便性の向上が狙いだ。

早朝なら残暑もちょっとは楽?

朝早い時間帯に出勤する「朝型」のビジネスパーソンや出張者にとっては便利な早朝の列車。もし実際に早朝の利用者が増えているのであれば、通勤ラッシュの緩和策として以前から提唱されてきた「オフピーク通勤」が多少なりとも実現しつつあることになるが、鉄道会社は近年の「朝型ライフスタイル」の浸透をどのように受け止めているのだろうか。

首都圏のある鉄道会社の担当者は「オフピーク通勤は確実に増えている。かつては8~9時にピークの山がはっきりとあったが、フレックスタイムの普及などで今では分散している」と指摘するほか、別の大手私鉄関係者も「朝の利用者が早朝の時間帯に移ってくる傾向がある」と語る。鉄道会社は、通勤利用者が早朝に分散しつつあるとみているようだ。

混雑率などの数値で見れば以前より落ち着いているとはいえ、朝の満員電車はストレスの一因。特に夏の時期は暑さも加わり、毎朝うんざりしてしまう人も多いだろう。

だが、昼間は暑さがこたえる東京も、早朝は比較的涼しい。たとえばこの8月、最高気温が37.3度と最も高かった9日でも、6時台の最高気温は27.1度。これが8時台は29.9度、9時台には33.5度まで気温が上昇してしまう。首都圏の主要通勤路線のラッシュピークはおおむね7時30分〜8時30分ごろ。ピーク時の前なら気温も低い可能性が高いのだ。

もうすぐ9月とはいえ、天気予報ではまだしばらく暑さが続きそうだ。暑さと混雑を避けて、朝少し早めに家を出てみるのもたまにはいいのでは。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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