株価上昇がもたらす、バブル増殖のメカニズム 本業不調でも、保有株が上昇すると経常利益は増加

✎ 1〜 ✎ 18 ✎ 19 ✎ 20 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

株価上昇が経常利益を増加させる

図は、縦軸に(経常利益-営業利益)を、横軸に保有株式時価増加額をとって、実際のデータを示したものである。データは11年7~9月期以降のものだ。ただし、12年4~9月期は2四半期の平均をとった。また、資金循環統計は12年9月までのデータしか公表されていないので、12年7~9月期の値に日経平均株価の上昇率を乗じることによって、12年10~12月期の保有株式額を計算した。

これらのデータに最小二乗法で直線を当てはめると、結果は、

(経常利益-営業利益)=0.112×(保有株式増加額)+4504億円となる。

定数項がプラスであるのは、株式増加がゼロでも経常利益は営業利益を4500億円ほど上回ることを意味する。これは、ネット利子収入だと考えられる(12年9月末において、株式を除く企業の金融資産は、株式を除く負債を171兆円上回っている。4500億円はその0.26%にあたる。貸付利子率と借入利子率の差がこの程度であると考えるのは、不自然なことではあるまい)。

かつての日本では、借入金が多かったために利払いが利子収入を上回り、経常利益は営業利益を下回るのが常態だった。しかし、借入金が減少したため、05年以降、経常利益が営業利益を上回るようになった。

いまひとつ重要なのは、株式増加の11%程度が経常利益に反映される、と考えられることだ。

次ページ厳しい経済の実態が、覆い隠されてしまう懸念
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事