株価上昇が経常利益を増加させる
図は、縦軸に(経常利益-営業利益)を、横軸に保有株式時価増加額をとって、実際のデータを示したものである。データは11年7~9月期以降のものだ。ただし、12年4~9月期は2四半期の平均をとった。また、資金循環統計は12年9月までのデータしか公表されていないので、12年7~9月期の値に日経平均株価の上昇率を乗じることによって、12年10~12月期の保有株式額を計算した。
これらのデータに最小二乗法で直線を当てはめると、結果は、
(経常利益-営業利益)=0.112×(保有株式増加額)+4504億円となる。
定数項がプラスであるのは、株式増加がゼロでも経常利益は営業利益を4500億円ほど上回ることを意味する。これは、ネット利子収入だと考えられる(12年9月末において、株式を除く企業の金融資産は、株式を除く負債を171兆円上回っている。4500億円はその0.26%にあたる。貸付利子率と借入利子率の差がこの程度であると考えるのは、不自然なことではあるまい)。
かつての日本では、借入金が多かったために利払いが利子収入を上回り、経常利益は営業利益を下回るのが常態だった。しかし、借入金が減少したため、05年以降、経常利益が営業利益を上回るようになった。
いまひとつ重要なのは、株式増加の11%程度が経常利益に反映される、と考えられることだ。
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