「シン・ゴジラ」で戦う自衛隊はリアルなのか 白熱の戦いに登場する兵器を分析してみた
7月29日公開の庵野秀明総監督の映画「シン・ゴジラ」が、大ヒットを記録している。筆者は本稿を書くために平日の朝一の回で、2回見たが席は7割方埋まっており女性、特に若い女性が多かったことに驚いた。その後、参加している読書会の映画の部会でこの「シン・ゴジラ」がテーマとなったのだが、ここでも女性が非常に多かった。しかもその多くは過去ゴジラも怪獣映画も見たことのない人たちだった。
ヒットの理由を筆者なりに考えると初代ゴジラが原爆実験によって生まれたモンスターだったが、「シン・ゴジラ」にも同じく原子力の問題が含まれている。詳細は、まだ映画を見ていない読者のために明かさないこととするが、それは先の東日本大震災を経験したわれわれ日本人にとっては大変リアリティのある設定だった。近代兵器でもかなわないゴジラは、大震災、大津波、原発事故が重なった先の大震災を彷彿させるものだった。
主人公は怪獣ではなく人間
「シン・ゴジラ」は怪獣映画というよりも「日本沈没」や「アウトブレイク」のようなパニック映画だった点もヒットの理由だろう。主人公はゴジラではなく、ゴジラという圧倒的な存在に振り回される人間だ。そこで日本の縦割りの官僚機構の問題がリアルに描き出されている点も、多くの共感を集めたのではないかと思われる。
そして、ゴジラと自衛隊との対決もリアルに描かれており、これが今回の映画の華といえる。そこで「シン・ゴジラ」における自衛隊の作戦行動を分析してみたい。繰り返しになるが、映画のシナリオの詳細を説明するつもりはない。それでも、いくつかの断片的なネタを俎上に載せることになるため、まだ映画を見ていない読者は、ここでいったん読み進むのを止めて、映画をご覧になった後に読むことをお勧めする。
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