「35歳以上婚」を達成する男女の"3つの資質" 50人以上を取材して見えてきたこと

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「超かわいい」と愛情を注いでいる3歳の息子に対しても少しずつ自立を促している。100円ショップで買ってきた子ども用のホワイトボードに、トイレや着替えや手洗いの絵を描いたマグネットをはりつけ、できたらひっくり返させるように言ってある。マグネットの裏には「できた」と赤字で書いてある。

やるべきことの「見える化」で交渉

「パンツをはくだけでも10分もかかっていることがありますけど、自分でやる習慣をつけさせることが大事だと思っています。マグネットを裏返して赤くなることには達成感があるみたいです」

裕子さん流にいえば「彼がやるべきことの見える化」である。子どもが少しでも自分のことを自分でできるようになれば、それだけ裕子さんにも余裕が生まれるのだ。それでも時間が足りないことも多いため、今度は夫である周平さんとの交渉に乗り出した。某雑誌の記事を参考にして、子育てを含む全家事の項目と所要時間を洗い出し、妻である自分の負担がいかに重いかを提示したのだ。

しかし、裕子さん以上にロジカルである周平さんには通用しなかった。「家事の見える化リスト」を一読した周平さんは、「やらなくてもいい項目、アウトソースできる項目」が多く含まれていることを指摘。たとえば、料理はすべてやめて惣菜を買うことで済ませても周平さんとしては一向に問題がない。

「手作り料理をあえて選んでいるのはあなたでしょう、と言うんです。面倒くさい人でしょう(笑)。でも、感情的に怒ってしまう人と暮らすよりはずっと楽です。

以前に、彼が大事にしていた高価な装身具を子どもに触らせて壊してしまったことがあります。でも、ちゃんと謝って状況を説明したら、まったく私を責めませんでした。後からぐちぐち言うこともありません。理性99%の彼は、私にはちょうどいい結婚相手だと思っています」

結婚して子どもができても苦労や悩みがなくなるわけではない。しかし、裕子さんのように「つねに考えて行動し、反省してまた行動する」サイクルを回していれば、悩み過ぎて落ち込むような暇は生じない。裕子さんの果敢で前向きな姿に勇気づけられるのは筆者だけはないだろう。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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