スーパー編集者が『宇宙兄弟』の次に描く夢 新世代リーダー 佐渡島庸平 作家エージェント

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 今の雑誌・出版の“かたち”は明治から大正にかけて生まれた。

1896年創業の新潮社を筆頭に、1911年に講談社、1913年に岩波書店、1922年に小学館と、今日の名門と呼ばれる出版社が続々と誕生した(ちなみに、東洋経済はこの中で最も古い1895年)。その後昭和に入ると、日本の出版界は、良く言えば産業化、悪く言えば硬直化し、平成25年(2013年)を迎えた今、完全に制度疲労を起こしている。

だが、そんな古びたモデルに代わる未来像を、まだ誰も示すことができていない。このまま“守り”に明け暮れていては、出版界はただただ衰退していくばかりだろう。

そんな状況にあって、佐渡島は先陣を切って、新しいモデル創りに挑んでいる。

新たな天才を発掘し、時代と国境を超えた作品を生み出す。その作品を、デジタル化という大変化を利用して、世界中の人々に届ける。そして、その夢を実現するためのビジネスモデルを自らで切り開く。佐渡島の快活で勇敢な姿を見ていると、「明治・大正のメディア人もこんな感じだったのではないか」と思えてくる。

彼の試みが成功し、彼が起こしたウネリが周りの人間を刺激し、出版界の内外から次々とチャレンジャーが生まれ、日本の出版界が新ステージへと飛躍する――そんなシナリオが現実となったとしたら、佐渡島は、“伝説のエージェント”としてだけでなく、“伝説の起業家”としても、メディア史にその名を刻まれるかもしれない。

=敬称略= (撮影:梅谷秀司)

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