「日本は電子書籍専用端末の墓場だ!」という説が、今日までずっと言われ続けている。といっても、その説を唱えてきたのは私一人だけだが、この説に私はかなりの自信を持っている。
というのも、私自身がここ2年あまりで買い求めた電子書籍専用端末をまったく使っていないうえ、私の周囲の人間も同じように、まったく使っていないからだ。
10月24日、とうとう、アマゾンが「Kindle(キンドル)」の日本発売を発表した。ほぼ同時に日本版「キンドルストア」もオープンし、日本での電子書籍事業に本格的に乗り出すことになった。そこで、日本にもとうとう本格的な電子書籍時代が到来すると、メディアや一部ファンは騒いでいる。
しかし、それでもなお私は、「電子書籍専用端末の墓場」説は生き続けると思っている。キンドルストアの評判は、なかなかいい。キンドルの予約状況もいいと聞いている。しかし、キンドル上陸によって、これまで続いてきた日本の「電子書籍ガラパゴス」が、そう簡単に変わるだろうか?
売れたものは何もない
すでに伝えられているように、今回発売されるキンドルシリーズは、最新の電子書籍専用端末でWiFiモデルの「キンドル・ペーパーホワイト」(8480円)、NTTドコモ回線で3G接続できる「キンドル・ペーパーホワイト(Wi-Fi 3G)」(1万2980円)の2機種。
さらに、7インチタブレット端末の「キンドル・ファイア」(1万2800円)、HDディスプレーを搭載した「キンドルファイア HD」(1万5800円~)の2機種、計4種類である。
発売予定日は「キンドル・ペーパーホワイト」が11月19日で、「キンドル・ファイア」が12月19日だから、年内にアマゾン上陸のおよその状況はわかるだろう。
日本で「電子書籍元年」と言われたのは、2010年である。前年からアメリカでキンドルが売れ出し、この年の5月にアップルのタブレット端末「iPad」が発売されると、メディアやファンの間で電子書籍フィーバーが起こった。そんな流れに乗って、作家の村上龍氏などが自らの電子出版会社を立ち上げた。誰もが「これからは電子書籍の時代になる」と思った。
日本の電機メーカーも「このままではアマゾンやアップルにやられてしまう」と思ったのだろう。以降、次々と電子書籍専用端末やタブレット端末を発売してきた。
しかし、これまで「売れた」と言えるものはあっただろうか?
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