巨人の星、インドで人気の理由

講談社の仕掛け人、古賀義章氏に聞く

日本発の「世界標準マガジン」を謳う、講談社の『クーリエ・ジャポン』。その創刊編集長を務めたのが古賀義章氏だ。2005年の創刊後、10年に編集部から退き、その後どうしたのか・・・と思ったら、実にユニークなことに取り組んでいた。インドでアニメ『巨人の星』のリメイク版を放映するという新規プロジェクトである。構想から2年、2012年12月23日に『スーラジ ザ・ライジングスター』として放映を開始した。古賀さん、なぜインドで、なぜ星飛雄馬なんですか?

インドで人気のクリケットは野球にそっくり

――日本版の吹き替えではなく、イチから制作したリメーク版なんですね。

『クーリエ』から今の国際事業局に異動する間、1カ月有給休暇をとってインドを旅行したんです。学生時代に世界中を旅しましたが、いちばん面白かったのがインドでした。4カ月間滞在したこともあります。

(C)梶原一騎・川崎のぼる/講談社・ライジングスター製作委員会

異動先ではインドにかかわる事業をしたいと思っていました。何かヒントはないかなと探していると、あるとき、“インドの3大テーマ”を教えてもらう機会がありました。クリケット、ボリウッド(インドの映画産業。米ハリウッドに倣ってこう呼ばれる)、インド占星術なんだそうです。

野球の原型とも言われるクリケットは、インドでは大人気のスポーツです。ブラジルのサッカー以上じゃないかな。レベルも高く、ワールドカップで2回優勝しています。少年たちは子どもの頃からバットとボールに親しんでいます。

2008年にはインドでプロリーグも発足しました。人気のコルカタ・ナイトライダーズに所属する選手の平均年収はおよそ3億円。インド代表のサチン・テンドゥルカルのようなトップ選手になると、スポンサー収入も含めた年収は15億円に上ります。

早速、自分でもボールを買ってプレーしてみて、何だか野球に似ているなあと思っていました。そんなある日、滞在中のホテルでそのテンドゥルカル選手に偶然出くわしたんです。大群衆に囲まれて、何事かという騒ぎでした。僕らが子どもの頃の、長嶋茂雄のような存在なんですね。

そこから、クリケットで何か新事業ができないかと考えていたとき、『巨人の星』が思い浮かびました。

インドの冷蔵庫の保有率は22%、これは日本の1960年代初頭の状況です。カラーテレビは31%、これは1970年当時に相当する。日本の高度経済成長期にはやった作品がいいんじゃないか、そんな判断もありました。

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