巨人の星、インドで人気の理由 講談社の仕掛け人、古賀義章氏に聞く

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(C)梶原一騎・川崎のぼる/講談社・ライジングスター製作委員会

――ちゃぶ台返しがあるのはうれしい。

一方で、父親が息子を殴るシーンは虐待に当たるという理由で、盛り込んでいません。ばねを体に巻く大リーグボール養成ギプスも、インドでは虐待として受け止められる。困ったなと思いましたが、自転車のチューブなら大丈夫ということになりました。ただ走るよりも、ギプスを付けて走るほうが断然絵になりますからよかった。出来上がりを見た局側も、「面白い、いろんなシーンにどんどん挿入してくれ」と言ってくれました。

母親がいない設定についても、「なぜいないのだ? 考えられない」と。インドではお母さんはマーターといって大切で特別な存在なんです。ただ母親代わりとしてお姉さんがスーラジを支えるという設定を、最終的には納得してくれました。

完全オリジナルの日本アニメは現地発

――現地ではそもそも日本のアニメが放映されているのですか。

吹き替え版の『ドラえもん』や『忍者ハットリくん』は数年前から放映されています。ただ、今回のような完全なオリジナル版は初めてです。

私自身、アニメを作るのも何も初めてのこと。資金集めから何からすべてが手探りでした。スポンサー探しにも奔走しました。インドで展開する日系企業を20社ほど回ったかな。最終的に、スズキの子会社であるマルチ・スズキ、日清食品、ダイキン工業、全日空空輸、コクヨの子会社であるコクヨ・カムリンといった会社に協賛していただきました。

プロダクト・プレースメント方式を採っています。スポンサー企業の製品を、作品の中にさりげなく自然な形で登場させる方法です。

花形満に当たるヴィクラムがさっそうと乗りこなすのはスズキ車ですし、毎回流れる序章シーンでは全日空機が飛んでいます。前回までのあらましを、スーラジが使うコクヨのノートをめくると飛び出してくる形にしました。また、毎回登場する街並みのシーンには、協賛各社の看板が立っています。

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