ゴルフ界は「900円」世代を取り込めるのか 初心者がゴルフを続けられるようにする方法

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「大学ゴルフ授業 産学連携調印式」が先日行われた。PGA、用品業界をはじめゴルフ業界全体で構成するゴルフ市場活性化委員会(GMAC)と全国大学体育連合が連携し、大学のゴルフ授業の充実を図るという。以前大学ゴルフ授業の厳しい現状を紹介したが、ようやくゴルフ業界も「約580大学で実施、年間数万~10万人の新規ゴルファー創出」の土壌に目を向けた。

9000本のクラブを無料で用意し、ルールや技術などの「教科書」作りにも着手する。ゴルフは就活の有効なツールになるので、授業としては人気があるそうだ。ただ、卒業してから「900円」になってしまっては意味がない。最初にゴルフを指導する人が大事になる。PGAは「指導者を指導する」ことから始める。こちらも「始める人の入口に立つ人」が大事ということだ。

未経験者だけでのゴルフには限界がある

ネットで探すと、初心者向けの安価なレッスンやイベントがたくさん見つかる。19・20歳の人は練習場やゴルフ場が無料になる「ゴルマジ!」という企画が人気だ。しかし、未経験者だけで行っても何をしていいかわからず、簡単に上達しないからか、苦痛に感じて続けられる人は少ないという。やはり始める、続けるには寄り添うゴルフ経験者の存在が大きいようだ。

ゴルフ界が、未経験者にゴルフの入り口に立ってもらう仕組みをつくっても、最初にゴルフをやった印象が、続けるかどうかの基準になる。ゴルフを続ける人が増えれば、誘える人が増えてゴルフに行きやすくなる。そう考える先輩ゴルファーが増えるのか。ゴルフの楽しさを伝える先輩ゴルファーの「協力」が、新規ゴルファー創出の大きなカギを握っている。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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