日立製ロボ「アラウンダー」、福島原発を洗う ゾウ鼻似のノズルから高圧水

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実際の作業スピードは1時間に1平方メートルであり、約200リットルの水を使用する。タンク容量は1000リットルで、1日当たり4時間程度の作業時間を想定しているため問題ないという。

水の供給・回収は長さ75メートルのホースでつながれた別置きのタンクで対応するため、「もう少し大きなサイズが必要になれば、タンクを替えれば問題ない」(日立GEニュークリア・エナジーの原子力設計部・米谷豊主任技師)。

ガレキ撤去する豪腕ロボットと“競演”も

日立は昨年12月には、遠隔操作できる小型双腕重機型ロボット「ASTACO-SoRa(アスタコソラ)」を発表している(写真)。アスタコソラは4月から福島第1原子力発電所の建屋内で、がれき除去作業などに使用される予定だ。

作業の進捗次第となるが、今年夏頃には、アスタコソラに続いて、アラウンダーの出番が期待されている。どちらのロボットにもカメラが複数台搭載されており、人が立ち入ることができない高い放射線量の建屋内の状況を知ることも大きな目的となっている。

東芝と日立の除染ロボットの使い分けについては、「水を使用できない箇所を洗浄するには東芝製、放射線物質がしみこんだ部分を除去する作業には日立製を使い分けたい」と東京電力ではコメント。

日立のアスタコソラとアラウンダーは、国の補助金を一部活用して開発したため各1台ずつしかない。今後、活躍する時間が増えて繁忙になれば、さらなる改良を重ねた次世代ロボットが登場するかもしれない。
 

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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