鹿島、アルジェリア案件の失敗で学んだ教訓

なぜ日本のゼネコンは海外で通用しないのか

アルジェリア高速道路工事は鹿島などにとって、約10年も続いた負の遺産だった(写真は鹿島本社)

工事開始からおよそ10年。日本のゼネコンが手掛ける海外事業の中で、”負の遺産”と言われ続けてきたプロジェクトがようやく決着を迎えた。

ゼネコン大手、鹿島を代表とする共同企業体(JV)は7月26日、工事代金の支払いを巡り交渉が難航していた「アルジェリア東西高速道路工事」について、発注者である現地政府と包括和解契約を締結。政府側が未払い金の一部を支払い、約8割まで進んでいた工事は打ち切って、撤収することとなった。

この工事は、鹿島、大成建設、西松建設、間組(現・安藤ハザマ)、伊藤忠商事の5社JVが2006年、アルジェリア公共事業・交通省高速道路公団から受注した大型プロジェクトだ。受注金額は約5400億円に上り、日本企業による海外インフラ整備事業では過去最大級の案件として、注目を集めた。国内を東西に貫く1200キロメートルの高速道路を建設するという国家プロジェクトのうち、鹿島JVが担当したのは東工区の約400キロメートルで、アルジェリア中部のボルジ・ブ・アレリジからチュニジア国境までを結ぶ。2006年10月に着工し、2010年2月の完成を見込んでいた。

治安悪化や資材変更で長引く工期

が、工事は予定通りに進まなかった。着工直後から、アルジェリア国内では外国人が犠牲となるテロが各地で頻発し、現地の治安は急激に悪化。こうした状況下に加え、当初の想定よりも地質がもろく工事が思い通りに進まなかったり、使用する資材を変更せざるをえなくなったりする事態も発生。政府側からは、度重なる追加工事を要求されるなどして、工期が長引いていた。

工事が遅れるにつれ、政府の代金支払いは滞った。鹿島JVは設計変更と工期変更を認めて、できあがった部分の工事代金を支払うよう、再三求めたものの、アルジェリア政府はこれを拒否。工事は凍結した状況が続き、「このままではらちが明かない」と判断したJV側が2014年、フランスの国際仲裁裁判所へ仲裁を申し立てる事態にまで発展した。

未払い金は1000億円程度にまで膨らみ、この間にJVのゼネコン4社は巨額の損失を計上。代表企業である鹿島は、数百億円単位での損失を重ねて引き当てており、複数年にわたって業績悪化を招く結果になった。その後、アルジェリア政府から「(仲裁ではなく)当事者同士で話し合いたい」と打診があり、複数回にわたる交渉の末、未払い金の一部支払いと契約解除を含む、今回の和解にたどり着いたのである。

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