ナイキがついに決断した「ゴルフ撤退」の衝撃 タイガーとともに築いたメーカーの歴史に幕
ナイキ(NIKE)がゴルフをやめる――。正確にはクラブ、ボール、ゴルフバッグのビジネスから撤退するという。あのタイガー・ウッズが、あのローリー・マキロイが使っているナイキのボール、クラブが作られなくなってしまうのだ。ゴルフ用品界にとっては衝撃的なニュースである。5月にテーラーメイドをアディダス本社(ドイツ)が売却することを発表したこと以上の衝撃といって過言ではない。
8月4日付のリリースで、同社はアパレルとフットウエアビジネスに集中し、クラブ、ボール及びバッグを含むゴルフ用品ビジネスから撤退することを表明した。その中で社長のトレバー・エドワーズ氏は「タイガー、ローリー、ミッシェル・ウィーらアスリートたちはゴルフに大きな活力をもたらしています。私たちがゴルフアパレルとフットウエアにおける確固としたリーダーの地位を築くため、彼らをはじめとする偉大なアスリートたちがビジネスにもたらしてくれる勢いをさらに加速させていく予定です。アスリートたちへの絶え間ないフォーカスがイノベーションを進め、世界中の熱心な消費者に刺激を与えていきます」と述べている。
要は本業のフットウエア、アパレルに集中すると言っている。
ナイキとタイガーがボールの歴史を動かした
ナイキのゴルフ事業参入については、タイガーの存在なしに語れない。タイガーは1996年にスタンフォード大学を中退しプロ入り、その年10月のラスベガス・インビテーショナルでプロ初優勝を飾った。タイガーが着用したキャップの正面にはナイキ「スウッシュ」のロゴが光っていた。ゴルフ界のニュースターがナイキと契約したことは大きなニュースとなったが、その時点で、同社はゴルフボール、クラブを持っていなかった。
ナイキが最初にゴルフ用品に参入したのはボールからである。1998年にナイキブランドのボールが発売された。その時点ではタイガーはまだ他社の糸巻きボール(ボールのセンターがゴム糸で巻かれたもの)を使っていた。タイガーが試合でナイキのボールを使い始めたのは、2000年5月のドイツバンクオープンから。そのナイキの新しいボールは、糸巻き構造とは違い、ボールのセンターに合成ゴムを使ったソリッドボールと呼ばれるものだった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら