アトキンソン氏「スポーツ産業の課題」を語る 日本のスポーツは観光並みに伸び代だらけだ

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スポーツも観光も、やるべきことをやれば「成長産業」になる(撮影:尾形 文繁)
「この20年間で、アメリカのスポーツ産業は3倍に伸び、かたや日本のそれは1兆円縮小した」――。この理由は単に「やるべきことをやったかどうか」の違いで、根底にある問題は、観光業や文化財産業と同じだという。
どういうことか、書籍『新・観光立国論』や、その続編『国宝消滅』などで日本の観光政策に関する提言を続けているイギリス人アナリスト、デービッド・アトキンソン氏が解説する。

 

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私が『新・観光立国論』を発表した2015年6月からこれまで、さまざまなところで、「『観光』には『多様性』が非常に重要であり、本質でもある」ということをお話させていただいてきました。

当然、「爆買」の中国人観光客にだけ来てもらえばいいというものでもなく、欧州をはじめ幅広い国の観光客のニーズを調査し、それに応えられる環境整備が必要です。そしてもちろん、観光の種類にも「多様性」が求められます。

日本を訪れる外国人すべてが、桜や富士山を見たいわけではありません。アニメやマンガ、音楽などが目的の観光客もいるでしょうし、大自然のなかでのハイキングやトレッキング、釣りを楽しみたい人もいます。あるいは、食事を楽しんだり、神社や寺をまわったり、着物などの伝統文化を体験したりという観光客もいるでしょう。

つまり、迎える側としては、観光客側のさまざまなニーズに応えられる観光の「種類」をそろえておかなければいけないのです。

日本のスポーツ産業は「伸び代」だらけ

そのなかで、私が大きな可能性を秘めていると考えているのが「スポーツ観光」です。

そう聞くと、近年、スキーを楽しむために日本に訪れる外国人観光客が増えてきていることを連想する方も多いでしょう。もしかしたら、2020年の東京オリンピックが頭に浮かんだ方もいるかもしれません。

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