富士重、タカタの影響で通期営業益予想を減額  タカタのリコール費用300億円上積み

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 8月3日、富士重工業が発表した2016年4―6月期連結決算によると、営業利益は前年同期比24.3%減の1015億円だった。写真のスバルロゴは2015年11月東京モーターショー会場で撮影(2016年 ロイター/Issei Kato)

[東京 3日 ロイター] - 富士重工業<7270.T>は3日、2017年3月期通期の連結営業利益が前期比29.3%減の4000億円となる見通しだと発表した。

従来は4200億円を見込んでいたが、下期にタカタ<7312.T>製エアバッグ部品によるリコール(回収・無償修理)費用を300億円積み増すことが響く。

トムソン・ロイターのスターマイン調査によると、アナリスト21人の通期営業利益の予測平均値は4593億円で、会社側の修正値はこれを下回った。

同時に発表した16年4―6月期連結決算では、営業利益が前年同期比24.3%減の1015億円だった。自動車販売の好調で303億円改善したものの、為替の影響で292億円、タカタのリコール費用で256億円、それぞれ悪化した。

高橋充専務は「下方修正は重く受け止めているが、事業の根幹に黄信号が灯っているわけではない。経営としてはアンコントロールな部分だ」と強調した。タカタ部品のリコール費用は、4―6月期で米国での対象台数分として305億円を計上し、下期の上積み300億円は「日本とその他の地域」での対象台数分を引き当てたという。

同社が実施する異常破裂につながる可能性が高い乾燥剤を含まないエアバッグ部品のリコール対象総数は約360万台。このうち、今期に200万台分を引き当てる。高橋専務は360万台分の費用総額は当初予定の900億円からやや膨らみ、「1000数十億円になるかもしれない」との見通しを示した。

通期の前提為替レートは1ドル=106円(期初は105円)、1ユーロ=121円(同120円)に修正した。4―6月期は対ドルで111円だったが、足元の為替動向を反映し、7―9月期は104円に見直した。下期は期初想定の1ドル=105円、1ユーロ=120円を維持した。

通期の売上高予想は従来の3兆1700億円から3兆1900億円に上方修正した。世界販売は4―6月期は前年同期比8.9%増の24万5200台で同期として過去最高を更新、通期計画は期初のまま据え置いた。

*内容を追加しました。

 

(白木真紀 編集:山川薫)

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