電子書籍は「オカンが使えるIT」へ

繰り返された「電子書籍元年」

先日、母から、こんなメールが届いた。

「Kindleで本を買いすぎました。請求が心配です」

母は66歳。“コンピュータおばあちゃん”……などではなく、ITやガジェットは決して得意ではない。正直、使いこなせないかもしれないと思いながら、Kindleの3G版をプレゼントしていたのだ。

予想に反して母は、買いすぎを心配するほど本を買って読んでおり、請求が怖くて今は、購入を自粛しているらしい。

メールには、こんなふうにも書いてあった。

「あなたの叔父さんも欲しいと言っていました。今度お見舞いに来るとき、買ってきてもらえますか」

叔父は70代で、AmazonのIDどころか、メールアドレスも持っていないというが、母が使っている様子を見て、欲しがっているらしい。

ほんの数年前まで、ガジェット好きな若者ぐらいしか使っていなかった電子書籍端末が今、ガジェットやネットが苦手な高齢世代を魅了している。

長かった「電子書籍元年」が、やっと終わったのかもしれない。

10年前の「元年」

「元年」という言葉は、ある特定の1年を指すべき語句だ。しかし電子書籍元年に限っては、数十年にわたる長い歴史を持っている。

日本メーカーの電子書籍への取り組みは、20年以上前に始まった。1990年にソニーが、8センチCD-ROMを使った端末「データディスクマン」を発売。電子書籍端末の歴史を切り開いた。

1993年にはNECが、フロッピーディスクを使った「デジタルブックプレーヤー」を発売。94年には松下電器産業(現パナソニック)が、8センチCD-ROMを使った「DATAPRESS」を発売するなど、90年代前半、国内大手が電子書籍端末に参入したが、端末が大きくて重く、高額だったり、コンテンツが少なかったりして普及にはつながらなかった。

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