ヤフー社員が、”弁当屋”になったワケ 世界一、ネットで弁当を売る達人もやってきた!

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お弁当・ケータリングモール「ごちクル」の方でも、売れ行きは上々。昨年の秋頃に、「ごちクル」の売り上げがヤフー社内の売り上げを超えた。

ネットで購入するのは、一般の人、企業の人だ。「どうせお昼を食べるなら、復興支援になるお弁当にしよう」。そんな意識で弁当を買ってくれる企業があるのは、非常にありがたい。

ヤフー弁当は、社内で長蛇の列ができるほどの人気に

その後、「石巻爆速復興弁当」は、レパートリーを変えたりして、第8弾までできた。

現在は「金華ぎん」に加え、宮城の名産かきをふっくら炊き上げた「カキ弁当」、三陸海岸の身のしまった真さばを使った「さば味噌煮」、脂の乗った“トロサンマ”を盛り合わせた「さんま天丼」などを販売中だ。

ついに駅弁、進出

今年1月からは、NEXCO東日本との共同開発で、『三陸彩り 金華ぎん 鮭弁当』を埼玉県の東北道、蓮田SAで販売している。駅弁愛好家・小林しのぶさんの協力も得て、見た目もきれいな豪華弁当に仕上がった。

そして2月からは、JRの駅でも販売を開始した。どうせ弁当をやるなら、いつか駅弁をと冗談で言っていたのが、あっという間に実現してしまった。

先日は、東京駅の売場チェックに行ったとき、まさに復興弁当を2つも買ってくれた人を発見。目を潤ませながら深々と頭を下げる、という不審者っぷりを発揮してきた。ありがとうございます、見知らぬお客様!

こうして「爆速復興弁当シリーズ」は、累計6500 個以上売れ、僕らが運営するサイト「復興デパートメント」の中でも主力商品となった。

最初はちょっとした思いつきだった弁当企画。まさかこれだけの形になり、今のような展開になるとは想像だにしなかった。

当初、宮坂が言っていたように、弁当での復興支援というのはわかりやすいのか、石巻でも東京でも一定の評価をされていると感じる。

“ヤフー弁当”は、まだまだ飛躍すると思っている。今後、大きく展開させるにはどうしたらいいのか、販路をどう開拓するか、知恵の絞りどころだ。

もちろんこの弁当は、ビジネスになっている。売れた分の数%を、われわれが動いた分の対価としていただいている(まだ小さいけど……)。このビジネスを大きくすることも、「黒字化」を目指すわれわれの使命のひとつなのだ。

当初、右も左もわからない状態で「なんかやれそうです」と言ったことから始まった企画。とにかくいろいろな人に助けてもらった結果であり、感謝の気持ちでいっぱいだ。いやしかし、みんなで力を合わせれば、なんとかなるもんですね……。

(構成:渡部 由美子)

長谷川 琢也 ヤフー株式会社復興支援室

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はせがわ たくや / Hasegawa Takuya

ヤフー株式会社復興支援室。
ヤフー株式会社ECオペレーション本部部長を経て現職に。

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