ヤフー社員が、”弁当屋”になったワケ 世界一、ネットで弁当を売る達人もやってきた!

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ただ、どうしたら銀鮭のインパクトを出せるかについては、試作品を作ってもらい、何度も見て食べてやり取りを重ねた。弁当の箱やパッケージも一緒に協力して開発した。包み紙が復興デパートメントの新聞のようになっているのは、こちら側からの提案だ。弁当サイトのコンテンツ作りにも力を入れた。

あまり知られていないが、弁当業界にも熱い人たちがたくさんいる。今回はその人たちに助けられたところが大きい。

たとえば、スターフェスティバルには、元楽天の“美しすぎる弁当プロデューサー” 濱野亜紀さんがいる。初めてスターフェスティバルに行った時、きっしーさんと濱野さんという、イケメン&美女がキラキラキラーっと登場してきて、話を聞く前から「とにかくすごい会社に違いない」と思ってしまったほど。

実際に弁当を製造している弁当屋さんたちも面白い。株式会社トウエイの國分大輔さんは、いつも黒いレクサスに乗って颯爽と現れる、スキンヘッドで迫力満点のおにいちゃんだ。町ですれ違ったら、絶対に目を合わせないようにするタイプ。この方も情熱的で、弁当のハード開拓にかなり協力してもらっている。

第1弾は「石巻爆速復興弁当 金華ぎん」。1日も早い復興への願いを込めて、ヤフーのスローガンである“爆速”を名称に盛り込んだ。もちろん、これらの弁当には、被災地の食材がメインディッシュとして入っている。

そもそも石巻には「金華ぎん」という銀鮭があり、それをブランド化したいという地元の強い声があった。その「何としてでも弁当に銀鮭を」という要望を受けてのことだ。

薄っぺらい鮭とは、まったく違う「金華ぎん」

ただ、鮭弁当と言えば、スーパーやコンビニなどで300円前後で買えるもの。この弁当は、価格は1食950円。弁当1つにつき50円が被災地へ寄付される仕組みとなっている。

ただ味については、かなりの自信があった。

一口食べてみれば、誰にでも鮭の質の良さがわかってもらえるだろう。安い弁当に入っている薄っぺらい、まるで“ミイラ”みたいな鮭とは一線を画す。大きく艶やかな鮭は、味も旨みも脂も一級品だ。最初の試食時、口の中でふんわりとほぐれる銀鮭を味わいながら、これはイケると確信した。

IT会社の社員が初めてのモノ作り。しかも、モノは食品だ。試行錯誤の末だから、第1弾が完成したときは感動した。

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