知日派トップが語る「安倍訪米」の注目点 ラスト・デミング・元国務省日本担当部長に聞く

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――安倍首相はTPPへの参加に前向きな姿勢を示すでしょうか。

そう願っている。これはそもそも日米2国間の課題ではない。日本が経済を立て直すためには、これらの対策を講じる必要がある。それは日本の国益に資する。

安倍氏は明らかに経済を重視している。景気を刺激するために、すでに複数の短期的手段を講じた。しかし長期的には、抜本的な経済の開放が不可欠となる。TPPはその実現に役立つ有益な手段だ。私は日本が、参議院選挙後にTPP参加に向けて動き出すことを期待している。それは長期的な視点から日本経済の健全性に資するからであり、この課題は日米関係にとって極めて重要だ。

普天間基地での事故というリスク

――日米双方にとって、普天間基地移設問題も大きなテーマになります。

私はここ1年ほど沖縄に行っていないが、普天間問題や辺野古への移転計画に関する沖縄の政治動向に大きな変化はないようだ。辺野古への移転計画は、いまだに極めて不確実だ。米国政府は、普天間の状況改善に努めている。MV-22(オスプレイ)はすでに沖縄に到着しており、順調にいっているようだ。

しかし私は、普天間基地で事故が起こる可能性について、これまでずっと神経を尖らせてきた。万が一事故が起これば、日米同盟そのものが本当に、深刻に悪化しかねない。

私は、日本の新政権が安定した政権となり、長期的計画を立案できるようになることを願っている。また、オバマ政権も第2期目に入り、政府にはこれから新たなメンバーが加わってくる。普天間問題をアジェンダのトップに戻し、この課題に実際に取り組むうえで、日米双方の側によい体制が整うことを期待したい。この問題を検討し始めたのは1995年だった。今後さらに17年も18年も、棚上げにしてほしくはない。

魔法の解決法など存在しない。私は、この課題には新たな想像力と新たなエネルギーが必要だと考えている。

(撮影:尾形文繁)

ピーター・エニス 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Peter Ennis

1987年から東洋経済の特約記者として、おもに日米関係、安全保障に関する記事を執筆。現在、ニューズレター「Dispatch Japan」を発行している

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