老後資産形成は「考えない」ほうがうまくいく 確定拠出年金のプロが教える投信の買い方

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これを聞きたい気持ちはよくわかります。しかしながら、それがわかれば誰も苦労はしません。運用で大切なことは「どれを買えば儲かるか?」「それをいつ買えばいいか?」「最後はいつ売ればいいか?」だと考えがちです。それはそのとおりなのですが、問題はそれを的確に当て続けることは不可能だということです。一度や二度ならうまくいくこともあるでしょうが、確定拠出年金のように何十年にもわたって運用を続けなければならない場合、永遠に当て続けることは無理です。

ではいったい、どうすればいいのか? 逆の発想で考えてみましょう。「どれを買えばいいのか」「いつ売買すればいいのか」がわからないのだとすれば、それを考えなければいいのです。具体的にお話しすると、分散投資と積立投資をすればいいということです。

「どれを買えばいいのかわからない」のであれば、全部買えばいいのです。“全部買う”というのは世界中の株式を買うということです。そんな無茶な!と思われるかもしれませんが、今は投資信託を使えば、世界中の株式を1000円とか1万円で購入することも可能です。確定拠出年金の中には日本の株式だけではなく、海外の株式で運用する投資信託もありますから、それらを購入することで世界中の株式に投資することが可能になります。これは言い換えれば「分散投資」をするということです。

「いつ売買すればいいのか」、そのタイミングがわからないのであれば、タイミングを考えなければいいのです。すなわち機械的に毎月一定額を購入していくのです。いわゆる「積立投資」と言われる方法です。一定の決まった金額で購入し続けることから、安いときはたくさん買い、高いときには少ししか買わないということが自動的にできます。この方法が必ずしもベストとは言えませんが、自分でタイミングをあれこれ考えて、うまくいくかどうかわからないのにやきもきするよりは、ずっとベターな方法だと言えます。

ただ、確定拠出年金においては、特に何もしなくともこの「積立投資」は自動的に行われます。なぜなら確定拠出年金は毎月一定の掛金を出して、それであらかじめ決められた金融商品(定期預金なども含む)を購入する仕組みだからです。だとすると、自分で考えなければならないのは前述の「分散投資」、すなわちどうやって分散するのかということです。

分散投資ってどうすればいいのか?

では具体的に、どうやって分散投資をすればいいのかについて考えてみましょう。先ほどもお話したように、分散投資をする理由は「どれを買えば儲かるのか?」がよくわからないからです。だから複数の投資対象に分散しておく必要があるのです。そうすればどれが上がっても下がっても、市場全体の平均と同じで、特に大儲けはできないかわりに大損をすることもありません。すなわち恣意的に特定の投資対象をピックアップして分散するのではなく、市場全体、それも世界中の市場全体に投資をすればいいのです。

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