「超一流」になるのに必要なのは才能か努力か 才能ではない「秘密の練習法」とは?
間もなくリオデジャネイロ・オリンピックが開催されますが、この100年間で、オリンピックの世界記録は急激に向上してきました。たとえば、1908年のロンドン・オリンピックでは、マラソンの優勝タイムは2時間55分18秒、100メートル走は10秒8でした。しかし、今年の東京マラソン参加者だけでも、1000人以上が3時間を切っており、日本の100メートル走の中学記録は今や10秒56です。こうした状況は、100年前の人にとっては、きっと信じられないものでしょう。
能力が高い人は、誰よりも長時間の練習を積んでいる
では一体どのようにして、人類は、このように身体能力を向上させてきたのでしょうか。
私が『超一流になるのは才能か努力か?』という本を書いたフロリダ州立大学のアンダース・エリクソン教授の名を初めて知ったのは、「1万時間の法則」が世に出てきたときです。これは、どんな分野においても、世界でトップレベルになるためにはおよそ1万時間の練習が必要だ、というもので、この法則のもとになったのが、エリクソン教授がベルリン芸術大学で行った研究でした。
それは、世界トップレベルの音楽学校でバイオリンを学ぶ学生たちを対象に、彼らの能力の差が、一体何によって生まれているのかを調べた研究です。エリクソン教授は、生徒たちが学校に入るまでの練習時間と練習方法を調査することで、彼らのバイオリンの能力の高さは、これまでの練習の合計時間によって説明できる、としたのです。つまり、「能力が高い人は、他の人よりも長時間の練習を積んでいる」ということが、この研究によってはっきりと示されたのです。
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