シェール革命で世界はどう変わるか【上】 LNG基地運営会社の幹部を直撃

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
米国・ペンシルベニア州郊外の牧草地。莫大なシェールガスの採掘権を有するのは一介の牧場主だ。(写真:Getty Images)
 米国では近年、シェールガス、シェールオイルの本格的生産が進み、米国内のガス、石油需給が緩和したことで、特に天然ガス価格が大幅に下落した。「シェール革命」と呼ばれるほどの経済的波及効果が生まれている。

 地下数千メートルに大量に存在しながら、肉眼では見えないナノレベルの岩盤のすき間に気体や液体で存在するがゆえにわずか数年前まで「絶対不可能」とされていたシェールガスとシェールオイル。それが米国の中小企業が起こした水平掘りや水圧破砕など常識を超えた技術革新によって、初めて利用できるようになった。

 『週刊東洋経済』では
2月16日号でこのシェール革命についての総力特集を組んだ。東洋経済オンラインも同特集に合わせて、米国産シェールガスの対日輸出を目指す米国フリーポートLNGディベロップメント社幹部へのインタビューと、同社からのシェールガス調達をもくろむ大阪ガスおよび中部電力の動きを、2回に分けて掲載する。

 

米国の安価なシェールガスをLNG(液化天然ガス)の形で日本に輸出するプロジェクトが、いよいよ3月にも米国エネルギー省の承認を得られる公算が大きくなっている。承認に最も近いと見られているのが、米国フリーポートLNGデベロップメント社(以下、フリーポート社)のプロジェクトであり、日本の大阪ガスと中部電力が液化加工契約を結んで、それぞれ年間220万トンのLNGを調達することになっている。

実際の輸入開始は2017年からとはいえ、これまで原油価格連動一辺倒だった日本のLNG輸入契約の価格体系に、米国の“天然ガス需給”を反映したまったく新しい価格体系が加わる意義は大きい。

米国政府による個別審査入りを間近に控えたフリーポート社のジョン・B・トボラ副社長(下写真)に、ヒューストン本社で話を聞いた。

内需と輸出を満たす莫大な天然ガス資源

――フリーポート社のLNG輸出プロジェクトの意義についてどう考えるか。

われわれは05年に天然ガスを輸入して再ガス化するLNG輸入基地を着工、08年に稼働したが、その当時と今とは状況がまったく変わった。05~07年には、米国内の天然ガス生産が減少に向かい、輸入依存が高まるとの見通しから、国内天然ガス価格が一時15ドル(100万英国熱量単位当たり)ぐらいまで上昇した。

しかしその後、シェールガスが技術革新によって大規模に開発されたことで、価格は3ドル前後まで急落。われわれ米国は、今後100年間枯渇しないといわれる莫大な天然ガスを手にすることができるようになった。

それがLNG輸出のビジネス機会をもたらし、当社は10年末、米国エネルギー省にLNG輸出プロジェクトの認可申請を行った。

次ページ2万~3万人の永久的雇用を生む
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事